中国新聞社 2022年2月12日(土) 13時40分
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北京冬季五輪の開会式では「24」という数字が演出意図を読み説くキーワードだった。この「24」とは、中国の伝統的な暦に使われる二十四節気によるものだ。
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4日夜に開催された北京冬季五輪の開会式では「24」という数字が演出意図を読み説くキーワードだった。この「24」とは、中国の伝統的な暦に使われる二十四節気によるものだ。ならば、二十四節気にはどのような考えが反映されているのだろう。中国メディアの中国新聞社はこのほど、二十四節気を詳解する記事を発表した。以下は同記事に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
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■中国の伝統的な暦は月の運行だけにもとづく「太陰暦」ではない
中国では伝統的な暦を農暦という。「農暦は月の運行にもとづくので太陰暦だ」と説明されることがあるが、必ずしも正確ではない。というのは中国の農暦には太陽の動きにもとづく部分もあるので、暦の分類としては陽陰暦に属するからだ。
農暦の中で、太陽の動きを反映する部分が二十四節気と言われる仕組みだ。純粋な太陰暦は月の運行だけにもとづく。そのため例えば潮汐を正確に反映するので海での活動には便利だ。しかし、太陽の運行については考慮していないので、季節の推移とは必ずしも合致しない。そのため農作業を行う時期の目安にするには不完全だ。
そのため中国の農暦には、太陽の年間の運行にもとづいて1年を24に分割する二十四節気が導入された。二十四節気は殷代(紀元前17世紀ごろ-同1046年)や周代(紀元前1046年-同256年)には萌芽があり、秦代(紀元前221年-同206年)から次の漢代にかけて完成された。
■二十四節気とは緻密な自然観察にもとづく「天人合一」の思想の現れ
二十四節気は中国における四季の交代に伴う気候の変化が精密に反映されている。それは、二十四節気の各名称が自然における具体的な事象であることからも分かる。例えば「雷によって虫などが驚き冬眠から目覚める」ことを示す「驚蟄」(日本ではより古い名称で、暖かくなり虫などが地中から這い出すことを意味する「啓蟄」を今も使用)、「イネやムギなどの芒(のぎ)のある作物の種をまく」ことを示す「芒種」、「霜が降る季節になった」ことを示す「霜降」などだ。
老子には「人は地に法(のっと)り、地は天に法り、天は道に法り、道は自然に法る」の言葉があるが、二十四節気はまさに、人は最終的には「自然に法る」、すなわち「天人合一」(天と人は本来的に合一性を持つ)ことを具体化させたものだ。
中国では「天人合一」の思想が強固になっていった。そして二十四節気は「天人合一」の影響を逆に受けることになり、さらには農作業の目安となる暦上の区分であるだけでなく、日常の行動の規範になっていった。司馬遷が著した「史記」の中でも、同書の解説部分である「太史公自序七十」には「陰陽、四時、八位、十二度、二十四節、おのおの教令(教えと定め)あり。これに順ずる者は昌(さか)え、逆する者は亡(ほろ)ぶ」と書かれている。
司馬遷は直後に「必ずしもそうでない」と続けているが、さらにその次には「春には生じ、夏には長じ、秋には収め、冬には蔵す。これは天の筋道である」として、「春夏秋冬の順は失ってはならない」と強調している。
■中国伝統の「循環時間観」が五輪の舞台で世界と出会った
二十四節気はまず、北斗七星の位置により定められた。北斗七星を同一時刻に観察すると、日が経過すると角度が変わって見える。ひしゃくの先の部分が、東から南、さらに西、北と回転していく。そこで、ちょうど1回転する期間を「歳」とした。さらに「歳」を24等分して、その区切りの日を「節気」とした。最初の節気が「立春」であり、「歳」が巡って次の「歳」がやってくる直前の節気、つまり最後の節気を「大寒」とした。
季節の変化で言えば、「冬が極まれば『陽』が生じて春が戻る」ということになる。二十四節気は、次から次に生じて終わることがないという、循環時間観の具象化だ。中国では非常に幅広い分野で、この循環時間観が導入された。例えば、前漢代(紀元前206-紀元8年)に編纂(へんさん)された医学書である「黄帝内経(こうてい だいけい)」でも、時間は循環するとの概念が示されている。
今回の北京冬季五輪は、第24回冬季五輪大会だ。開会式が行われたのは2月4日だった。さらにこの日は、二十四節気の最初の節気である立春だった。開会式の総監督に就任した映画監督のチャン・イーモウ(張芸謀)氏は当初、開会式のテーマをどうするかで悩んでいたが、ある日「24」という数字が不思議なほど符合しており、しかも当日が立春であることに気づいて、二十四節気を全面的に取り入れた演出を思いついたという。
二十四節気と第24回冬季五輪を結びつけたことは、文化の交流と相互学習のモデルとも言える。五輪大会というスポーツの祭典に対して改めて、人類文明の発展を見つめ、考えるために有益な視点を提供したことは間違いない。(構成 / 如月隼人)
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