「ソニーのカメラを破壊しようと思ったが…」=和服女性への罵倒を見て思うこと―中国メディア

Record China    2022年2月17日(木) 17時20分

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中国・雲南省の湖畔で写真撮影をしていた和服姿の若い女性が罵倒されて追い払われた騒動について、中国メディアの大象新聞は評論員の見解を伝えた。

中国・雲南省の湖畔で写真撮影をしていた和服姿の若い女性が罵倒されて追い払われた騒動について、中国メディアの大象新聞は評論員の見解を伝えた。

騒動があったのは今月13日。同省の大理ペー族自治州大理市の洱海(湖)生態回廊の近くで4人の若者が写真を撮影していたところ、そのうちの女性1人が日本の和服のようなものを着ていたことからトラブルに発展。追い払われた若者らが「道徳の押し付けか」「中華人民共和国のどの法律が和服を着てはいけないと規定しているんだ?」などと反論するも、周囲の人々から「南京大虐殺を忘れたのか」「和服を着るなんてそれでも中国人か」「あんたたちはクズだ」「出て行け!」などの罵声を浴びせられその場を去った。

騒動後、大象新聞の評論員を務める陳思(チェン・スー)氏は「文化と軍国主義を区別すべきだ」と主張する論評文を発表した。

陳氏はまず、「このニュースを見た時、私は手元にあるソニーのカメラを眺めながら、この1万元(約18万円)以上もした精密光学機器を破壊してしまおうかと考えた。しかし、最終的には物質的現実が精神的快感に打ち勝った。私はこれを使って、祖国の素晴らしい山河を記録することができているのだから」とつづった。

その上で、「『カメラは国内メーカーが弱いから仕方ない、カメラは和服のような文化的な象徴ではない』と反論する人がいるかもしれないが、それを思うとさらにいたたまれなくなる。今後は寿司を前にしてよだれを垂らしながら涙をのみ、『ONE PEACE』や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』もタブーになってしまうのだろうか」と続けた。

そして、はっきりさせなければならないこととして、「われわれは日本の軍国主義に反対するのであって、日本のすべての文化的要素に反対するのではない」と指摘。「和服は軍服や靖国神社と違い、それ自体に軍国主義的な色彩は含まれていない。その上、和服は隋唐時代の官服を模したものとされ、中華文明の繁栄の証明でもあるため、中国の服装の審美と合致するところもあるのだ」と論じた。

同氏は、「女性が立っていた場所が烈士陵園で、それが9月18日(満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日)であれば、中国人の感情を容赦なく踏みつけることになるだろう。人々が怒るだけでなく、当局が処分・処罰することもある。しかし、この女性が普通の日に普通の場所で和服を着ている以上、この行為が民族感情を挑発するものだと見るべきではない」とした。

また、「道徳的な判断になった場合は、法律に立ち返ればよい。法律で禁止されていない以上、和服を着て写真撮影をすることは個人の選択の自由であり、本質的には自宅で日本の漫画を読むことと変わらない」と主張。ただ、屋外で和服を着用する場合は人目にさらされる分、一部の人に不快感を抱かせやすいとも指摘し、背景として「和服自体を嫌うというよりも、若者たちが日本文化を尊ぶことに対する不満があるのではないか」と推察した。

同氏は、「周囲の人々に寛容さを求めたり、和服を着た女性に(感情を傷つけられる人がいるということへの)理解を求めたりする必要はない。双方がこれまで経験してきたことや接してきた情報は違うのであり、観念も違う。法に触れない状況下では、双方の攻撃や反論はそれほど大きな意味を持たない。それぞれがそれぞれの立場の中で自分の主張をしているに過ぎないし、われわれもそこに共通認識を求める必要はない」と指摘。

その上で、「観念や思想上の違いというのは調和させるのが難しい。そのため、こうした状況では観念の正しさを比較するよりも、法律法規を守るかどうかがポイントだ。それはつまり、他人の自由を侵害してはならない、他人の人格を侮辱してはならない、話し合うのは良いが痰を吐きかけてはならない、口論は良いが殴り合いはいけない、ということである」と論じた。(翻訳・編集/北田

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