米国の中国語ニュースサイトの多維新聞によると、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、インドの地政学者、ブラーマ・チェラニー氏は「米ロ新冷戦は中国の台頭を加速させる」との見方を示している。

チェラニー氏は、米政治専門紙ザ・ヒルへの寄稿で、米国による制裁の有効性は、米国自身の実力が相対的に衰退するにつれて低下しており、制裁が米国自身の経済的および地政学的利益に逆効果であることを、ますます多くの証拠が示していると指摘した。

その上で、ロシアの主要な銀行を国際的な金融システムである国際銀行間通信協会（SWIFT）から切り離すことを含む西側の経済制裁により、ロシアは西側に支配されていない代替的な金融システムに対する模索を強化することになるだろうとした。

また、西側によるロシアへの経済制裁は、中国が「エネルギーセーフティーネット」を構築する道を切り開いたとも指摘。中国とロシアが先月、1175億ドル（約13兆5000億円）相当の原油・ガス購入契約を発表した後、ロシアからドイツへ天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」をめぐる米国の制裁は中国にとって良いニュースだとした。

チェラニー氏は、西側がロシアだけを制裁の標的にすれば、中国が主な受益者になるのは確実であり、中国が米国に取って代わるという「中国の夢」を手助けすることになるとしている。（翻訳・編集/柳川）