全員死亡の東方航空墜落事故、「ネット暴力」でさらに傷つく家族も―中国

Record China    2022年3月28日(月) 20時20分

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21日に発生した中国東方航空機の墜落事故では、乗客乗員131人全員が死亡したと判断された。嘆き悲しむ遺族に対する「ネット暴力」が発生しているという。

21日に広西チワン族自治区梧州市内で発生した中国東方航空5735便墜落事故では、繰り返し捜索したものの生命反応を検出できなかったことから、搭乗していた乗客乗員131人全員が死亡したと判断された。遺族が嘆き悲しむのはもちろんだが、そんな遺族に対する「ネット暴力」が発生している。

中国のポータル/ニュースサイトの網易が掲載した記事によると、遺族のために手配された梧州市内ホテルでは時おり、遺族の泣き声が聞こえてくる。遺族の泣き声が聞こえるのは、墜落現場も同様だ。事故や災害発生時の捜索活動に長年に渡り参加してきたという人も「事故現場で家族が泣く姿を見ると本当に耐えられない。自分の心が震える感じがする」と語った。捜索スタッフに「甥(おい)が乗っていた。広州の学校で勉強しているが、雲南省にいる恋人に会うために飛行機を利用した」などと話しかける遺族もいるという。

しかし、インターネットに心ない書き込みをされた遺族もいる。ある遺族はメディアの取材を受けて心境を語った。するとネットに掲載された記事に「悲しみ方が足りない」というコメントが寄せられた。

亡くなった叔母を偲(しの)んで、生前の様子を動画投稿サイトのティックトックで発表した遺族がいた。多くのユーザーが悔やみのコメントを投稿したが、中には繰り返し「家族が死んだのに、あなたはティックトックで便乗して人気取りをしている。それが孝行ということか?」という同文の批判コメントを書き込み続けた人がいた。

批判のコメントは削除された。批判された人自身が削除したのではなく、「問題あり」と指摘する通報を受けたサイト側が、削除すべきと判断したとみられるという。すると批判のコメントをした人は改めて「私のコメントを削除してどうなる。びくついているのか。この恥知らず」と書き込んだ。

叔母の動画を投稿した人は結局、「叔母を偲んで投稿したのだが、人気取りのためと思われた。遺族の気持ちを誤解されてしまうことになった。深くお詫びします」といった謝罪文を投稿した。

中国科学院心理学研究所教授で、中国災害防御協会心理サービス専門委員会の事務局長でもある祝卓宏氏は取材に対して「航空事故における遺族の心的外傷は、急性ストレス段階、怒りの放出段階、(つらい事実と折り合いをつけようとする)交渉段階、うつ段階、復元段階を経る」と述べ、5735便搭乗者の家族の心理は現在、急性ストレス段階にあると説明。祝氏によると、現在心理的応急措置が特に必要な時期であり、友人などのサポートや心理専門家や精神科医の助けが必要な場合が多いという。

搭乗者遺族の心理面での支援については、各方面が手配を進めている。事故発生後に第一陣の心理専門家50人余りが現場入りした。梧州市ではさらに精神科医70人が待機しており、同市に来た家族に随時対応する体制が構築された。ボランティアスタッフも家族に1対1の対応を提供する。東方航空によると、同社は事故機の出発地の雲南省昆明市、到着予定地だった広東省広州市、事故現場の梧州市に160人以上の専門家を派遣し、遺族各世帯に専門の対応チームを手配するなどの体制を構築したという。(翻訳・編集/如月隼人

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