和華 2022年4月15日(金) 23時50分
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写真は「中国・日本・世界応援 健康回復・病魔退散 点灯祈福ご法要」(2020年3月、日本道観)。中国からもオンラインで2000人もの方が参加した。
▼マスクがつなげたTAOの絆
私たち日本道観(1980年設立)・道家道学院(1992年設立)では、古代中国に生まれた人類の叡智である「道」TAOの思想と、そこから生まれた心身を自然に保つための気の修練法を伝えています。そして「道」TAOの思想や文化、儀礼などの研究や保存、文化交流を目的とした一般財団法人日本タオイズム協会の活動も行ってまいりました。2018~2019年は、まさに日本と中国の道教協会同士の交流や日中文化交流がこれまで以上に積極的に進み、さらなる発展を遂げる時期になると楽しみにしていました。ところが年明け早々、この新型コロナウイルスのパンデミックによって、中国を訪れることも、また来ていただくことも全くできなくなったのです。
私たちにとっての第一のショックは、最も深い交流をしてきた中国道教協会、中国国際友好連絡会、そして中国の研究者の先生がたやその御家族や友人などが、コロナの危険にさらされている、という事実でした。そして自分達にできる本当に小さな応援として、「中国へマスクを贈ろうキャンペーン」を始めようと思い立ちました。この呼びかけに、日本全国のタオイストの会員さんは、自分のマスクを購入するより先に、寄付を持ちよってくださったのです。まさにその直後に日本の市場からもマスクを手に入れる事が難しくなった事を思うと、日本全国で買い集めた2万1000枚のマスクを中国にお贈りできたことは、日本のタオイストの願いを届ける一つの実践となりました。
また、このマスク応援についての情報がネットに流れて、中国の見ず知らずの方々から予想以上に多くの反響がありました。こんな大変な時に中国の方々からいただいた本当に心温まるメールは、逆に私たちを勇気づけてくれました。そして、この新型コロナウイルスによる最悪の状況が一日も早く終息することを祈り、病魔退散、中国武漢応援、世界応援を祈る儀礼を行いました。
その儀礼の目的と日程を知って、中国からもネットで共に合掌したいと、医療現場の方々を含む2000人を超える一般の方が参加してくださいました。その時の中国の皆さんの温かい反響から、私たちは、応援することによって逆に大きく勇気づけられたのです。
その後、中国はすぐにコロナウイルス押さえ込みに成功し、逆にどんどん感染が広がる日本を心配して4月半ばには、今度は「中国からマスクや消毒薬など必要なものを贈りましょう」と中国大使館、中国国際友好連絡会、中国道教協会ほかの皆様からご連絡いただきました。その対応の素早さにも感動しましたが、人と人がお互いに助け合う交流の姿は、まさに人類の原点の姿を現していると思いました。その時中国からお贈りいただいたたくさんの品々は、東京、大阪、福岡、福島の医療機関などにお贈りさせていただき、医療物資が急速に不足してきた日本全国の医療関係者の方々にとても喜ばれました。
今思うと、この時に皆さんからいただいた大きな勇気のおかげで、コロナ禍を、皆と共に力をあわせて明るく乗り越えられたのです。心から感謝いたします。
▼「道」TAOで元気に
日本道観、道家道学院では「道」TAOの気の修練法を指導しているので、すぐに道学院での指導がこれまで通り続けられない、という状況になりました。それについては、1回の指導人数を減らし、実際に道学院に来られない皆さんとはご自宅とZOOMをつなぎ、リモートで気のトレーニングを指導しました。また全国向けに講座を配信するという新しい試みを行い、これまで道学院から離れていてなかなか通えなかった地域の方々、また海外の方々ともリモートでつながることができ、大変喜ばれました。また学校で友達と自由に遊ぶことができなくなった子供達にも、親子で学ぶ「老子」講座を配信、TAOダンスを作って親子で楽しく元気に踊ってもらいました。こんな時だからこそ自宅でできる、体内の気を活性化させる気のトレーニングに励んでいただくことで、皆さんコロナにかかることもなく、元気に家族仲良く、このコロナ禍を乗り越えることができているのです。
▼天地不仁
「道」TAOの生き方に沿って考えれば、すべての地球上の生物は、天地自然に平等に同じように生かされている事になります。 そして天は、人間だけの都合なんて考えないのです。
『老子道徳経』第五章に「天地不仁」とあります。つまり天地には仁はないのです。この地球もまた宇宙も、もっと大きな無為自然の世界なのです。ですから今回のパンデミックも、この大きな宇宙の変化の1ページであり、自然の生態系の中に調和して静かに生きていた新型コロナウイルスが、人間による自然の生態系破壊によって居場所を失い、人間社会の中に噴出してきた、という結果の一つなのだと思うのです。人類が破壊してきた地球環境に危機感を持ち、地質学の世界でも人間活動が地球環境に与える影響に注目した「人新世」という時代区分が提唱されています。私たち人間がこれからもこの地球で楽しく生き延びるために、目を背けてはいられない限界の時が来ているのです。
そして、何の防御もできない弱い人間が生き残る道は、コロナウイルスも含めたすべての生命との共生を今一度考えることであり、加えて老子の説く「不争の徳」を実践し、私たち人間が互いに助け合って力を合わせることなのではないでしょうか。
私は、この大きな時代の過渡期に、皆さまのお力をお借りしながら、人類の叡智、「道」TAOを、誰でも実践できるように、わかりやすく楽しく、伝え続けてまいりたいと思います。
※本記事は、『和華』第31号「日中100人 生の声」から転載したものです。また掲載内容は発刊当時のものとなります。
■筆者プロフィール:早島妙聴(はやしまみょうちょう)
道家<道>学院学長。日本道観住持道長。一般財団法人日本タオイズム協会会長。大仙山天來寺住職。世界医学気功学会副主席。『中華続道蔵』特別招待編集委員・第二十四団体(日本)顧問。早島天來、早島妙瑞のもとで修行を重ね、2017年に道家龍門派伝的第十五代継承。全国で講座を開催、『親子で学べる老子』他著書多数。
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