過酷な残業は昔話、日本の働き方改革の成果とは―中国メディア

Record China    2022年6月11日(土) 18時0分

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7日、中国メディアの観察者網は、過酷な労働環境により多くの問題を抱えていた日本の労働環境が改善しつつあると伝えた。

2022年6月7日、中国メディアの観察者網は、残業時間の長さにより自殺や過労死の事件が多発した日本の労働環境が、ここ数年の政策により変化を見せていることを伝えた。

記事は初めに、中国人から見た日本の労働環境への印象を紹介した。「2019年の日本のドラマ『わたし、定時で帰ります』を見て、日本の職場環境の苦しさや定時に会社から帰るのがどうしてぜいたくな望みになるのかを疑問に思った中国人は多い」「ブラック企業や過労死が身近にある日本社会と、『996問題』を抱える中国を比べると、まだ中国の庶民の方がマシだとも思えてくる」「14年から日本に在住する記者が、自分で見聞きなどして集めた情報から言える結論は、日本はブラック企業が多く存在し、人に対する圧迫が非常に強烈で、常軌を逸しているとしか思えない」と評した。

また、さまざまなデータや記事を引用し、改善前の日本の労働環境の問題について説明した。「経済協力開発機構(OECD)が公開した、14年時点の15~64歳男性の1日当たりの平均労働時間データによると、日本男性はOECD諸国で1位の375分で、全体平均の259分と比べると2時間近く長かった」「同じ14年に日本政府は、過労死の防止と問題の認知促進を目的とした『過労死等防止対策推進法』を施行し、20年に毎週60時間以上の労働者を人口の5%以内にまで減らす目標を掲げたが、特に広告業界で旧態依然の残業奨励の傾向が強く残り、16年に大手広告会社の電通社員で東大卒の女性、当時24歳の高橋まつりさんの自殺事件が起きた」「高橋さんは母子家庭に育ち、一流企業に入社して母親に楽をさせることを子どもの頃から思い描いていたが、月100時間を超える残業や、上司のパワハラに悩まされ、自殺を選んだ」「17年に出た判決で、裁判所は法人企業としての電通の労働基準法違反罪だけを問い、罰金50万円を科されただけに終わった」「大手企業でこの通りなら、中小企業のブラックぶりはいかばかりだろうか」「尸位素餐(しいそさん、責任ある地位にありながら、職務を果たさず、無駄に給料をとること)の管理者が問題の温床だった」「東京では線路への飛び込み自殺が起きると、電車が急停車することがよくあるが、電車の乗客たちは電車が止まったことや遅刻することを気にして、自殺者のことを気にせず、まるで心がまひしているようだった。この点から見ても改善前の過労死や自殺に対する認知の度合いがどれほど深刻だったかを見てとることができる」とした。

さらに、日本の働き方改革と労働環境の改善状況について説明した。「日本は19年から『働き方改革』を実行し、月45時間、年360時間の残業時間の上限が設定されたほか、勤務間インターバル制度で、仕事と仕事の間に8時間以上の休息を取る規定ができた」「中小企業でも60時間を超える時間外労働に50%増の賃金支給」「違反者は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の刑事罰が科される」「有給休暇を毎年最低5日間取得する義務ができたため、土日祝日と組み合わせて長い休みを取りやすくなった」「12~21年の日本の正社員の月間平均残業時間は約48時間から約25時間に大きく減少した」「帰宅時間にパソコンの電源を落としたり、できる限り残業をさせず定時に帰すことを大企業が率先して実行したことで、20年の新型コロナウイルス騒ぎの中でも、積極的にリモートワークを採用することができ、緊急事態宣言の下でも、多くの大企業が人員の安全と権益を確保する努力を続けていた」と指摘した。

記事は「日本の労働者は一定の範囲内で十分な休息を取れるようになったが、まだ労働問題のバグとも呼べる『非正規雇用者』の問題が残っている」と言及し、「厚生労働省が公開したデータによると、正社員と非正規雇用者の生涯収入は約6000万円も差がある。この金額は東京近郊に家が買える金額だ」「正規と非正規で家一戸分の格差がある状況は、間違いなく世代を経て社会全体の生活階層が固定化されていくことを意味するだろう」「少しでも積み立てるお金が無ければ、スタートラインがもともと高い人に負けることが決まっている。日本は貧富の差が小さい国だろうが、庶民が格差の制限を乗り越えるのが困難なことは、鉄のように固まった事実だ」と指摘した。

最後に「プラザ合意後から『失われた30年』を経るも、日本社会は30年前も今も変わらずに安定した社会を運営している。この事は深く考えさせられる。洪水のように社会的な階級が変動を繰り返す社会と、長く安定した社会構造が続く社会のどちらを、日本の民衆は望むのか。今を乗り切ることで精いっぱいかもしれないが」と論じた。(翻訳・編集/原邦之

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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