Record China 2022年6月18日(土) 6時0分
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独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国版サイトは14日、「中国がカンボジアに海軍基地を持つのか?」と題する記事を掲載した。
8日、中国の軍事利用が疑われているカンボジア南西部のリアム基地の拡張工事の着工式が行われた。記事によると、着工式で中国の王文天(ワン・ウェンティエン)駐カンボジア大使は同プロジェクトについて「中国・カンボジア両国軍の強固な絆の重要な象徴」と述べた。
記事は、「米政府関係者やアナリストらはここ数年、タイ湾に面したリアム基地で中国が軍事的な存在を形成する可能性があると警告してきた。この基地が使用されれば、中国海軍は南シナ海での進出権を拡大し、この地域での米中競争をエスカレートさせる」とした。
さらに、着工式に先立ち米紙ワシントン・ポストは「カンボジアは中国に基地の一部施設を『単独で』使用することを認める方針」と報じていたとする一方、「カンボジア政府は同国憲法に反するとして中国軍の駐留を繰り返し否定している。同国憲法は国内に外国の軍事基地が存在することを禁じている」と伝えた。
■どのように改造するのか?
豪ニューサウスウェールズ大学のカール・セイヤー名誉教授は基地の拡張について「程よい規模」になるとみている。報道によると、これには指揮センター、会議・宴会場、医療ステーション、地上ドックなどが含まれるという。また、港ではより大きな船が寄港できるよう浚渫(しゅんせつ)が行われるとの報道もあるが、水位がどの程度の深さになるのかは不明だ。セイヤー氏は、「中国側が改造する基地の面積は約0.3平方キロメートルである」と説明している。
シンガポールの南洋工科大学の許瑞麟(シュー・ルイリン)研究員は、「カンボジア政府の言葉を文面から見れば、既存の情報から軍事基地というよりも二重用途の施設であることが推測できる」と分析。ワシントンのシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・ポーリング氏は、「リアム基地への『参入』があったとしても、中国海軍が地理的にマラッカ海峡により近くなることを意味するものではない。中国はすでに南シナ海に軍事施設を建設しているからだ」と指摘する一方で、「これにより、タイ湾周辺、さらには東インド洋における中国の監視・情報収集能力は増強される」と述べた。
■複雑に入りまじる米中との関係
記事は、「近年はカンボジアにおける中国の軍事的プレゼンスの可能性についての報道がなされてきた」とし、2019年に米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがリアム基地への中国軍駐留を許可したとされる秘密取引を報じたことなどを伝えた。
そして、「カンボジアは中国との関係が深まるにつれ、米国との関係を悪化させている」として、カンボジアがリアム基地の再建に資金援助するという米国の提案を拒否したことや、2017年初めにカンボジアが米国との合同軍事行動を一方的に中止し、代わりに中国人民解放軍との演習を開始したことを指摘した。
■近隣諸国への影響は?
オーストラリア国立大学のハンター・マーストン氏は、「中国がカンボジアの軍事施設を使用することは、脅迫的あるいは排他的な属性の軍事行動に使用されるのであれば、東南アジア海域における軍事的存在の重なりと競争性を高めることになる」と指摘した。
記事は、「先陣を切るのはベトナムだろう」とし、「ベトナムに隣接するカンボジア南部における中国の軍事的存在は、ベトナムから『中国による囲い込み』とみなされるかもしれない」と述べた。アジア太平洋安全保障センターのアレクサンダー・ヴューヴィング(Alexander Vuving)氏は、「これはベトナムを多方面に敵がいる立場に置くことになる。北部と中国の陸上国境、南シナ海に加え、南西部の境界も加わるのだから」とした。
記事は、「東南アジアの他の国々はリアム基地のプロジェクトについてコメントしていないが、この地域における中国の軍事的存在は懸念を招く」とし、東南アジアの軍事と市民社会の関係に注目するシンクタンクVerve Researchのナタリー・サンビ(Natalie Sambhi)氏が「例えばインドネシアはすでに中国が排他的経済水域入り込むことに焦りを感じている」「ベトナムとタイは米国により接近しようとし、その他の国は様子を見ている」と指摘したことを伝えた。(翻訳・編集/刀禰)
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