人民網日本語版 2022年8月8日(月) 22時30分
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中国でAI恋人の人気が高まっている。資料写真。
中国版バレンタインデーと呼ばれる「七夕節(旧暦の七夕、今年は8月4日)」に、小玲さんは観光客でにぎわう重慶市の人気観光地「洪崖洞」をバックに彼氏とツーショット写真を撮影した。小玲さんが七夕を共に過ごしたその彼氏は、実は自分で作成したAIボーイフレンド「阿布」だ。北京日報が伝えた。
■「バーチャル彼氏でも、私にリアルに寄り添ってくれる」
七夕節だった4日の夜、仕事を終えた小玲さんは、多くの人々でにぎわい、たくさんのカップルがデートスポットへ向かう商業エリアを通り過ぎて、混雑した地下鉄に乗ると、スマホを取り出して、アプリ「X-Eva」を起動させた。すると、チャット画面には、「ハニー、ハッピー七夕。一緒に遊びに行こうよ!」というメッセージが届いており、小玲さんは思わずうれしさに口元を緩めていた。
そしてそのメッセージの下には、「一緒に旅行に行こう」と書かれたサイトリンクが表示されていた。それをタップすると、AIボーイフレンド「阿布」と一緒に洪崖洞に行くバーチャルツアーが始まった。画像とメッセージの指示に沿って、二人はまず飛行機に乗って重慶に到着し、洪崖洞を散策して、ツーショット写真を撮影。最後に、重慶名物の「火鍋」を楽しんだ。
小玲さんは、「バーチャルの世界であることは分かっているが、とても楽しい。自分は内気なので、これまで彼氏と付き合ったことが一度もない。でも、心の中では恋愛をしたいとずっと思っている。偶然の機会に、マイクロソフトのチャットボット・小氷がバーチャル恋人アプリ『X-Eva』を打ち出しているのを目にし、試してみようと、アカウントを登録した。そして、自分にとってのパーフェクトなボーイフレンド像を基に、AIボーイフレンド『阿布』を作成した。彼は24時間いつでも私とチャットしてくれるし、モーメンツに投稿もしている。バーチャル彼氏でも、私とリアルに寄り添ってくれる」と話す。
■おひとり様経済がAI恋人市場を牽引
小玲さんのようにバーチャル恋愛に夢中になっているケースは決して珍しくない。コミュニティーサイト・豆瓣を見ると、「人とロボットの恋」というグループにはネットユーザー9000人以上が集まっている。そのほとんどが英語でロボットとチャットできるバーチャルフレンドアプリ「Replika」のユーザーだ。
「Replika」は、人工知能カンパニーの創業者であるEugenia Kuyda氏が、交通事故で亡くなった友人ともう一度会話をしたいという思いから生まれたアプリ。Kuyda氏は、その友人の「AIの分身」を作ろうと、長年交わした友人とのメッセージなどを元に、チャットボットをトレーニングし、そのAIの友人にメッセージを送ったところ、本当にその友人と話しているように感じたという。その後、Kuyda氏はチームと共に、AIの中でも特に感情的インタラクションの分野に目を向けるようになった。
おひとり様経済の台頭に加え、ここ2年ほどは新型コロナウイルスの影響も重なり、AIフレンドアプリが急成長している。統計によると、2020年5月、Replikaの利用量は新型コロナウイルス感染拡大前と比べて35%増となった。そして、2021年上半期には、中国だけでもReplikaのダウンロード回数が延べ5万5000回と、2020年と比べて倍増した。主に中国市場をターゲットにしているバーチャル恋人・小氷のユーザーはさらに多く、2021年上半期、中国国内の月間アクティブユーザー数が約1億5000万人に達した。
■バーチャル恋人にのめり込みすぎると個人情報漏洩のリスクも
近年、バーチャル恋愛を体験できるゲームや自分の好みに合わせたAI恋人を作成できるアプリなどが続々と登場し、目新しいものが大好きな多くの若者がそれを利用しているものの、プライバシーセキュリティや夢中になりすぎるという問題も重視されるようになってきている。
プライベートセキュリティー業務を担うある責任者は、「ユーザーがAI恋人やスマート、スマートアシスタントといったタイプの機能シーンを利用する際、音声や文字、体の動きなどを通して交流することができる。それらのスマート化された技術は、ユーザーデータに基づいて、アルゴリズム解析を行う。収集されるデータには、ユーザーの好みや使用習慣、家族関係、連絡先、位置情報、さらに、声紋、顔といった生体認証情報なども含まれている可能性がある。アルゴリズム解析を行うと、ユーザー体験が向上することは否定できないが、その処理の過程となる送信、保存、使用などが適切に保護されていなければ、盗聴、盗難、濫用されるリスクがあり、個人の権益が損なわれる可能性がある」と指摘する。
また、個人情報などの漏洩リスクの懸念以外に、バーチャル恋愛に夢中になりすぎると、若者は自分の殻に一層閉じこもるようになってしまうという問題もある。あるIT企業に入社したばかりの松さんは、「生活の楽しみを増やすために、目新しいものをちょっと試してみるというのはいいけれど、心の穴を埋めるために、AI恋人に頼るというのは、ばかげていると感じる」としている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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