中国軍で台湾を担当する「東部戦区」はこのほど、台湾の周辺海空域で実戦に向けた統合演習を引き続き実施したと発表した。これに関連し、米政府系ラジオ・フリー・アジア（RFA）の中国語版サイトは7日、中国軍による台湾周辺での軍事演習常態化は台湾軍を疲弊させる恐れがあるとする台湾の軍事評論家の見方を伝えた。

ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発して中国軍が4日から台湾周辺で行っていた大規模な軍事演習は7日、最終日を迎えたが、東部戦区は、台湾周辺で陸上に向けた攻撃と空中での長距離打撃能力を試すことに重点を置いた実戦的な演習を行ったと発表した。

RFAの記事によると、軍事評論家の亓楽義（チー・ラーイー）氏は、今回の演習について、台湾にいかなる実質的な損失ももたらさなかったが、中国の船舶と航空機による台湾海峡の「中間線」超えと今後の軍事演習常態化を考えると、台湾は油断してはいけないとの認識を示した。

亓氏は、「海峡の中間線がなくなり、演習は今後も続く。米国の専門家によると、この脅威は新しいニューノーマルになる可能性が高く、台湾の今後の防衛の方向は西方だけでなく全方位となり、軍を疲弊させることになる。中国軍は少しずつ接近型の演習の度合いを強め、台湾の防衛の重心を最小範囲にまで縮め、台湾の反応と早期警戒の時間を減らす。台湾にとって新たな挑戦であり、十分に検討する必要がある」としている。（翻訳・編集/柳川）