1枚のスクリーンに見る文化的な生活の移り変わり―中国メディア

人民網日本語版    2022年8月16日(火) 13時50分

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羅珠さんの家は標高約4300メートルのチベット自治区当雄県にある。公益映画映写係として、1985年から農民と牧民向けに映画を上映しており、蔵北草原の約200村を訪れた。

羅珠さんの家は標高約4300メートルのチベット自治区当雄県にある。公益映画映写係として、羅珠さんは1985年から農民と牧民向けに映画を上映しており、蔵北草原の約200村を訪れた。以前はハンドトラクターにスクリーン、映写機、フィルム、発電機、食料、布団を積み、当雄県の村々をめぐり上映していた。村々を一周するには3カ月以上かかることもあった。チベットでは羅珠さんのような映写係は今も少なくない。彼らは雪の高原を移動し続け、映画を通じて同地の文化的な生活の移り変わりを見守ってきた。

80、90年代は村には道路がなく、電気も通っておらず、農民と牧民の精神的、文化的な生活は貧しかった。映画鑑賞は彼らが世界を知るための重要な窓であり、文化的な生活の需要を満たす重要な手段だった。ある村人は映画を見るため、家族を連れて約十キロも離れた隣村まで歩いてやってきた。「上映チームがいる所ならばどこでも行く」とばかり、風が吹き雪が降ろうとも、人々が集まって、興味津々といった様子で映画を楽しんだ。農民と牧民の映画に対するこうした関心の高さは、苦労もいとわず駆けずり回る映写係たちを鼓舞した。チベットでは昨年、約500チームの末端映画上映チームが公益映画を6万6000回以上上映し、幸福な生活に文化のエネルギーを注いだ。

フィルム映写機からデジタル映写機へ、画質の悪い古いフィルムからカラフルなデジタル映画へ、「上映されるなら何でも見る」から「見たい作品を選ぶ」へ。今や農民と牧民はより豊富な映画鑑賞の選択肢を手にしているが、これは公共文化サービスの質の向上と高度化を反映している。1998年から始まった農村での映画上映「2131プロジェクト」は、「1つの村で毎月映画を1回上映」を実現した。2000年に始まった「西新プロジェクト」(チベットや新疆などの辺境少数民族地域のラジオ・テレビ普及プロジェクト)は20数年にわたり、映画のチベット語吹き替え版を2400本以上作成された。これらの公共文化サービスプロジェクトは、農民と牧民により多くの文化資源、より優れたインフラをもたらし、人々の文化活動を展開するための基礎を固めた。

今や農民と牧民はスマホやテレビでさまざまな文化番組を視聴できる。7年間の電気通信普及サービスにより、チベット自治区のすべての行政村でブロードバンドが利用できるようになった。99%以上の行政村で光回線と4G信号が普及した。すべての村のブロードバンド普及により、人々はいつでも興味ある文化的アーチファクトを検索できるようになったのだ。出かけなくても映画やネットドラマを鑑賞し、オンライン授業を受け、ニュースを見られるようになった。多くの農民と牧民はさらに短編動画プラットフォームで生活を共有し、才能をアピールし、自ら文化活動に参加している。娯楽は映画だけの時代から、スマホやパソコンなどにより生活を豊かにできる時代になった。遠くに届くネットワーク信号が山を越え谷を越え、情報の受け取り方と文化への参加のルートを変え、住民の生活水準と幸福度を高めている。

時代の移り変わりと共に、露天映画を見る人が徐々に減っている。一部の地方はモデル転換の模索を開始している。ラサ市では露天映画が屋内に移り、人々がより快適に鑑賞できるようになった。多くの映写係は人々の需要の理解をいっそう重視し、人々が喜ぶ劇映画や、生産の問題を解消する牧畜業科学教育作品などを上映している。スクリーンの裏側で変わっているのは需要で、変わっていないのは美しい生活への憧れだ。(提供/人民網日本語版・編集/YF)



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