新型コロナウイルス感染症の米国経済への影響が徐々に顕在化し、米国が労働力不足に陥っている、と中国メディアが報じた。この中では「失業に伴う収入減や医療費の負担増などが米国経済の深刻な損失を生んでいる」と指摘。「米国の経済発展に長期的な影響も」との見方を示した。

米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、米国の新型コロナ感染者は10月5日現在、世界最多の9648万1737人。米国の総人口は約3億3480万人で、2．8人に1人が罹患（りかん）した計算になる。死者数は106万428人で、やはり世界最多だ。

米国の感染状況について、中国網は米シンクタンクのブルッキングス研究所がこのほど発表した分析報告書を引用。「新型コロナの影響を受ける約1600万人の生産年齢人口のうち、200万～400万人の労働力が失われている。中間値で計算するならば、これは米国の労働力人口の1．8％に当たる」とした。

ハーバード大学のデビッド・カトラー教授（応用経済学）は別の方法で類似する結論を導き出し、米国人の約350万人が新型コロナにより失業したと見積もった。

記事は「過去1年以上にわたり、米国の労働市場では需要に供給が追い付いていなかったが、数百万人の労働力が失われたことで人材不足がさらに深刻化したと分析されている」と言及。「ブルッキングス研究所の分析によると、労働力不足の一部の原因は新型コロナであり、その米国経済への直接的・間接的影響を無視できないという」と続けた。

カトラー教授は350万人が新型コロナにより失業した場合、これによる5年間の賃金の損失は約1兆ドル（約144兆円）に上ると計算。収入の損失のほかにも、感染症により健康水準が下がり、医療費の負担が拡大した。これらを合わせた総コストは約3兆7000億ドルにも達し、すべての米国人がこれを負担するならば、1人当たり1万1000ドルになる。

カトラー教授は7月下旬現在で少なくとも960万人が新型コロナ関連の症状に苦しめられていると説明。そのため米国は政策による対応が必要であり、検査・治療・抑制への支出は米国社会にコストをはるかに上回るメリットをもたらすと強調した。

中国網は「米国人の感染症への注目度が大幅に低下しており、バイデン米大統領もパンデミック（世界的大流行）は終わったと述べたが、米国では感染拡大が続いており、感染者数が増え続けている」と警告。「これは感染症によって苦しめられる人が持続的に増加しており、それに伴う経済の影響も拡大することを意味する」と論評した。（編集/日向）