EV大国の中国、充電施設でも電池技術でも欧米を引き離し中―香港・亜洲週刊

亜洲週刊    2022年10月16日(日) 19時10分

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中国は電気自動車(EV)関連で、世界をリードする状況を確固たるものにしつつある。充電施設密度は圧倒的に高く、電池製造では技術力を武器に「世界を牛耳る」状況を固めつつある。

香港メディアの亜洲週刊はこのほど、中国は電気自動車(EV)分野で、充電施設数では欧米を大きくリードしており、電池関連でも新技術の開発などで世界における主導権をさらに強める見通しと紹介する記事を発表した。

■欧米よりも圧倒的に多い充電施設、今後も新たな取り組み続く

中国では2022年6月までに、約400万個所の各種の充電施設が設置された。米国は現状で、充電ステーション4300カ所、充電スタンドは12万カ所だ。欧州も約30万カ所の充電スタンドしかない。中国に存在するEVと充電スタンドの比率は3対1で、世界で最も充電施設の密度が高い。さらに中国では2025年までに充電施設が570万カ所にまで増加する見込みだ。

とはいえ、中国でもまだ、EVの運転時には「電池切れ」を心配せねばならない状況が存在する。そのため産業側はさまざまな科学技術を武器に、大型充電ステーション、電池交換ステーション、スマートエネルギーステーション、移動充電車、充電地図、スマート家庭充電装置など、新たな方策を打ち出している。

EVメーカーの上海蔚来汽車(NIO)は21年12月に、電池交換ステーション700カ所を建設し、第三者充電スタンド43万カ所と接続を可能にするなどの、充電と電池交換のサービス体系を構築すると発表した。広州汽車集団のEVブランドである埃安(AION、アイオン)は22年4月、中国石油(ペトロチャイナ)、中国南方電力、華為技術(ファーウェイ)と共同で光・貯蔵・充電・電池交換一体型のエネルギー補給施設を建設していくと発表した。その他にも、複数のEVメーカーが充電施設などの大規模建設を発表している。

■EVに欠かせない電池分野でも世界をリード、世界的な環境保護にも貢献

EVの発展と普及と強い結びつきがあるのが、電池の「進化」だ。EVと電池を製造販売する比亜迪BYD)は「ブレード電池」と呼ばれる新型電池を開発して、EVの走行距離を50%以上伸ばすことに成功した。テスラもブレード電池を採用してEVの価格を30%引き下げると発表した。中国の技術はすでに、海外進出を本格化させている。

世界の電池市場における中国製電池のシェアは、すでに5割近くに達した。個別企業としては寧徳時代新能源科技(CATL)が34%、BYDが12%だ。中国は電池製造で必要なリチウムなどの資源を外国に依存せざるをえない。つまり中国企業が電池分野で大きなシェアを占めているのは、技術面で先行することで価格競争力を獲得したからだ。USBのアナリストは、今後5年間で中国製電池はさらに大きなシェアを占めると予測した。

国連貿易発展会議(UNCTAD)は、リチウムは温暖化物質の排出削減には欠かせない戦略資源であり、保護が必要と繰り返し警告するようになった。中国が電池技術を向上させれば、希少な資源であるリチウムを節約できることになる。すなわち中国企業が高性能の電池を開発することは、地球環境全体にとって有益ということになる。

CATL傘下の時代電服科技は2022年1月、中国全国区規模で電池交換ステーションを建設し、EVが充電することも、充電済みの電池と交換することで電力を「借用」することもできる、「ワン・カー・マルチ・バッテリー」の新たなモデルを開発すると発表した。

メルセデス・ベンツ・グループは5月、北京ベンツ電池工場で効率がより高く容量がより大きい次世代型高性能電池の製造を始めた。同工場はメルセデス・ベンツ・グループ初の海外電池工場だ。

江西省内ではリチウム関連企業と電池メーカーが提携しての、リチウム資源やリチウム塩の供給や、電池の回収を行う産業パークを建設する取り組みが始まった。

中国の製造業については、長期にわたって「技術は低く人海戦術やエネルギーの莫大な投入で大量生産」の印象がつきまとった。もはやこのような従来型のイメージは通用しない。中国では今、環境にやさしく省資源型の「グリーン経済」が定着しつつある。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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