英移住の香港市民、「就労の壁」に直面、無犯罪記録証明が必要も警察との接触を嫌う

Record China    2022年11月26日(土) 16時0分

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英国に移住した香港市民が「就労の壁」に直面している。就労には香港警察が発行する「無犯罪記録証明書」の提出が必要だが、警察当局との接触を嫌う人が多いためだ。

民主化などを求める大規模なデモに加わり、その後英国に移住した香港市民が「就労の壁」に直面している、とロイター通信が伝えた。就労には香港警察が発行する「無犯罪記録証明書(CNCC)」の提出が必要だが、さまざまな理由で警察当局との接触を嫌う人が多いためだ。

ロイター通信によると、中国政府が2020年に香港国家安全維持法(国安法)を施行したことを受けて、英国は昨年、香港市民定住策を立ち上げた。海外在住英国民旅券(BNOパスポート)の保有者とその被扶養者が対象で、これまでに14万人余りがビザを申請した。

英国の推計によると、5年間で32万2400人の香港市民が英国に入国し、この間の経済効果は26億ポンド(約4200億円)を超える見通しだ。

支援グループのUKHKによると、英国への移住者の大半は高い教育を受けており、4分の3が大学の学位か、より高い学歴を持ち、60%は子ども連れ。多くがIT(情報技術)、教育、会計、銀行、金融、運輸、物流、ヘルスケアなどで職を探している。

IT企業に勤めていたトニーさん(55)は今年に入って試験監督官の職を得たが、CNCCを提出できなかったため失職した。多くの香港市民同様に、英国滞在を香港当局に知られたくないと思っているし、家族や資産が「香港だから」というのが理由の一つだ。

「犯罪歴はないが、香港警察とは接触したくない。香港政府は海外に移住する人に冷たいというのが私の実感だ」とトニーさん。妻も看護職に戻るためにCNCCが必要だ。

民主化デモに参加して有罪判決を受けた数学教師のジェシカさん(28)も事情は同じ。英国では教師が「引く手あまた」で、ジェシカさんはすぐに元の職に戻れると信じていたが、雇用主はデモ参加以外の履歴に問題がないことを証明するよう要求してくる。教育や医療など雇用主が厳しい身元確認を求める職種では、警察が発行する証明書の提出要求が就労の壁になっている。

反政府活動に参加した香港市民からは、信用の置けない警察に詳細な個人情報を渡したくないという声が聞かれる。家族を訪ねて香港に戻れば、身柄を拘束されるのではないかと心配する市民も多くはないがいる。

中国が警察に海外担当ポストを秘密裏に設立し、民主活動家を狙い撃ちする可能性があると報じられたことも、懸念や警戒感をあおった。中国政府は報道を否定したが、香港当局に所在を知られれば、将来的に香港の資産が凍結されたり、没収されたりするのではないかと恐れ、滞在場所を香港警察に教えたくない市民も少なくないという。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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