男子はキツくても女子ならなんとか―中国の「サッカー強国」実現構想とは

Record China    2023年1月3日(火) 12時0分

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中国は世界のサッカー強国を目指している。そして女子サッカーについての長期計画が立てられた。男子を対象とした同様の計画は成功の見込みがまるで薄いが、女子の場合には成功の可能性がより高い。

中国は世界のサッカー強国を目指している。そしてFIFA女子ワールドカップ2023が近づく中で、女子サッカーについての長期計画が立てられた。男子を対象とした同様の計画は成功の見込みがまるで薄いが、女子の場合には成功の可能性がある。ドイツメディアのドイチェ・ベレが報じた。

中国は2010年ごろから、男子サッカーに大いに注力するようになった。多くの人が、男子サッカーが22年カタールW杯に進出できると希望を抱いた。しかし、この計画は失敗した。中国の男子サッカーは02年以来、W杯の出場資格を得られていない。また、中国国内では、男子サッカーの多くのクラブが財政面で苦境に陥っている。

そのため、ファンや関連組織が男子よりも女子サッカーに関心を向けるようになっても不思議ではない。中国サッカー協会や中国政府の教育部、財政部、国家体育総局は22年10月24日、女子サッカーを世界最高レベルに引き上げるための計画を発表した。

発表のタイミングも尋常ではなかった。習近平総書記の異例の3期目の続投を決議した中国共産党第20回大会が閉幕して2日後だった。北京市政府のスポーツ関連部門の関係者は、女子サッカーの育成計画について「スポーツ関連机関だけでなく中央政府が発表したもので、このこと自体が非常に重要だ」と述べた。なお、共産党トップの習近平総書記(国家主席)は、サッカー好きであることが、よく知られている。

この計画には七つの重点優先分野が含まれており、その中には若手の強化、資格のあるコーチの増加、国家代表チームのレベル向上が含まれている。また、最終目標は中国における31年女子サッカーW杯の開催と、その4年後のW杯優勝だ。

中国は16年に、男子サッカーを30年までにアジア最高のチームにして、50年までに世界の頂点に立つことを目標とする計画を立てた。当時の中国のサッカーに対する資金投入は驚くべき水準に達した。17年冬のシーズンオフに中国スーパーリーグのクラブは、選手移籍に3億9200万ユーロ(17年12月31日の為替レートで約520億円)を投じた。この金額は当時の世界の他のどのリーグをも上回った。

しかしそれ以降、クラブを所有する多くの会社が深刻な財務問題に見舞われるようになった。小売り大手の蘇寧が経営する江蘇FCは20年に中国スーパーリーグで優勝したが、21年には活動停止に追い込まれた。そして、ナショナルチームには実力を向上させる様子が見られない。

日本で活躍していたサッカー指導者のトム・バイヤー氏は中国の女子サッカーを促進する計画に参加することになった。バイヤー氏は中国政府教育部と国家体育総局の顧問を務め、同計画を中国全国の何千もの学校に広めた。バイヤー氏は、中国の男子サッカーは「パフォーマンスがよくない」と述べ、中国政府が最近になり女子サッカーに関心を向けているのは論理的な結論だとの見方を示した。

中国女子サッカーは22年、W杯予選で不振にあえいだ中国の男子サッカーチームを尻目に、アジアカップを劇的な方法で制した。決勝では途中まで韓国に0−2でリードされていたが、最終的には3−2で勝利した。中国男子サッカーが世界のビッグイベントから遠ざかっている一方で、中国女子サッカーは23年にオーストラリアとニュージーランドが合同で開催するワールドカップに向けて準備を始めている。

中国の女子サッカーがワールドカップに出場できたのは1999年の大会だけだ。しかし、男子サッカーと比べれば頂点に立つまでの道は短い可能性がある。女子サッカーで世界の強豪になろうと本腰を入れている国は、男子サッカーに比べれば少ないからだ。

中国女子サッカーは86年から99年までの間にアジアカップで7回連続優勝した。2006年には8度目の優勝を果たした。しかし全体的に言えば、その後は中国女子サッカーの今世紀における世界ランキングは低下しており、首位に返り咲く道は順風満帆ではない。22年には再びアジアカップで優勝したが、状況は基本的には変わっていない。

世界では女子サッカー強国を目指す動きが強まっている。特に目立つのが欧州各国だ。欧州の女子サッカーの場合には「風土」も関係している。欧州の女子選手は、周囲の男性がサッカーの戦術などを絶えず語り合う環境で生まれ育ったからだ。

中国では女子サッカーがすでに、大衆からの広範な支持を得ている。21年には、女子サッカーに対して男子サッカーと同等の経済的支援を呼び掛けるSNSの微博(ウェイボー)への投稿が1億1000万回も閲覧された。ただし、政府当局が長期にわたり支持を継続するかどうかは、まだ不明だ。

中国女子サッカーチームが23年W杯で計画通りに活躍できれば、中国当局が女子サッカーの新たな計画を立ち上げることに結びつく可能性が高い。長期的な計画では、23年W杯で好成績を残すことが、中国が35年のW杯の開催国の座を勝ち取るための最初の一里塚になるとされている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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