Record China 2023年1月3日(火) 17時40分
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中国人の英語力は世界ランキングを下げつつある。サウスチャイナ・モーニング・ポストは、ナショナリズムの台頭も英語力の低下に結びついているとの見方を示した。
香港の英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストは1日付で、中国人の英語能力の世界ランキングが低下していると指摘する記事を発表した。同記事は、ナショナリズムの台頭も英語力の低下に結びついているとの見方を示した。
世界111の国と地域についての英語力を示すEF英語能力指数(2022年版)で、中国人受験生の英語ランキングは世界62位だった。同指数は、英語能力を「極めて高い」、「高い」、「中程度」、「低い」、「極めて低い」の5段階に分類しているが、中国人の英語能力は「低い」に判定された。
中国の近隣国/地域では、フィリピンが22位、マレーシアが24位、香港が31位で、いずれも英語力が「高い」と判定された。インドは51位で「中程度」だった。なお、日本は80位だった。
英語力が最も高いとされたのはオランダで、シンガポール、オーストリア、ノルウェイの順で続いた。
同ランキングを主宰したEFは、「中国およびインドネシア、日本の若年層は、30歳以上と比較すると英語能力が特に低い。中国が今年、スコアを落としたのは、若年層の成績が影響したからだ」と説明した。
中国とは対照的にアジアの国として好成績を上げたシンガポールの場合には、英語が同国において最も広く使われている言語という状況がある。また、中国大陸部の英語力ランキングが後退しつつある一方で、香港は過去3年間の順位が安定して推移している。人材紹介会社のロバート・ウォルターズ香港の関係者は、香港では雇用主の多くが、英語、広東語、北京語の3言語を使える人材を求めていると説明した。ただし人材紹介サービスを行うヘイズ香港の関係者によると、現在はすでに、職を得るために重要なのは英語力だけでなく、ソフトウェアや技術の能力も評価のポイントだという。
中国大陸部では教育の場で英語を重視しない、場合によっては事実上の英語排除が進んでいる。中国政府・教育部は、20年以降、小中学校で海外から輸入した教科書を使用することを禁止している。小中学校のカリキュラムに占める外国語教育の割合は6%-8%で、中国語の20%-22%、数学の13%-15%よりはるかに低い。
中国のある大学教授は匿名を条件に、大学では英語の原書や翻訳された書物を使って学ぶことは奨励されていないと説明した。ジャーナリズムや憲法などの政治的に敏感な分野では、その傾向がとりわけ強いという。
中国国内で国際色が最も濃いとされる上海市では21年、生徒への学業面の負担を減らすことを理由として、小学校の期末試験から英語が取り除かれた。
広東省にある半導体チップを製造する中国企業のある幹部は、技術系の専門家にとって英語能力は依然として重要だが、そうでない人の場合、中国国産製品が多く使われるようになったために、外国語の必要性は減少したと指摘した。多くの中国人バイヤーが中国語での文書出力を求めるようになり、優れた英語力を持つことは技術関係者にとっても、必ずしも前提条件でなくなってきたという。中国の輸出業界関係者によれば、人工知能の発達が、英語力の必要性を低下させている可能性もあると述べた。顧客との意思疎通に、オンラインの自動翻訳を利用する中国人営業担当者もいるという。
また、中国に進出した外資企業が、現地化を推進したために、英語の必要性が低下したとの指摘もある。中国法人の高級幹部が本社から送り込まれた場合には、ほとんどの場合、英語による意思疎通が必須となるが、中国人が外資系企業の幹部であれば、中国語を使えばよいからだ。
ただし、子を持つ親には、英語能力はそれでも重要と考える人がいる。四川省成都市で働く公務員であり、一男一女の母である女性は、「外国語は世界を知るための道具であり、子どもの視野を広げることに役立ちます。将来、研究職に就くにせよ、コミュニケーションを多くする職に就くにせよ、留学するにせよ、英語力は重要です」と語ったという。(翻訳・編集/如月隼人)
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