テスラがまたも値下げ、「史上最安値」の背後にある思惑や他社との違いとは―中国メディア

Record China    2023年1月10日(火) 7時40分

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テスラが6日に値下げを発表したことを受け、中国ではこの話題がインターネットの検索上位にランキングした。中国新聞社は7日付で、テスラの思惑や他社との違いを分析する記事を発表した。

テスラが6日に値下げを発表したことを受け、中国ではこの話題がインターネットの検索キーワード上位にランキングした。中国メディアの中国新聞社は7日付で、テスラの思惑を分析する記事を発表した。

■テスラが驚きの値下げ攻勢、過去最安値が出現

テスラ中国は公式サイトを通じて、中国国内で製造される自動車2種を値下げすると発表した。これまで最も安いタイプが25万5900元(2023年1月8日時点ので約494万円)だったモデル3は、最低価格を22万9900元(約444万円)に、同様にモデルYは28万8900元(約558万円)から25万9000元(約500万円)に価格を引き下げた。いずれも、過去最安値だ。

テスラ中国の陶琳(タオ・リン)渉外担当副総裁は、電気自動車(EV)2種の引き下げが中国で関心を集め、検索キーワードの上位になったことを受けて「テスラの価格調整の背後には無数の技術改革が存在する。実際に、コストコントロールの唯一無二の極めて素晴らしい法則によるものだ」と説明した。陶副総裁は、テスラはコストに基づき価格を設定する大原則を堅持しているとも説明した。

テスラは22年10月にモデル3とモデルYを値下げしたばかりだった。一方で、中国の乗用車製造業界団体である乗用車市場信息聯席会(乗用車市場情報連合会)が発表した中国市場における予測販売台数によればテスラは昨年12月、前年同月比21%減、前月比44%減で、5カ月ぶりの低水準である5万5796台を納車した。価格を値下げしても、少なくともすぐには売り上げ増に結び付かなかったことになる。

■値下げの背後には、マスク氏が掲げた台数目標の「未達」か

テスラがこのほど発表した年間生産販売データによると、22年通年の年間生産台数は前年比47%増の136万9611台で、通年の納車台数は前年比40%増の131万3851台だった。生産・販売ともに100万台の大台を突破したものの、納車台数はマスク氏が22年初に目標として掲げた前年比50%増には届かなかった。

テスラの株価は1月5日、2.9%安の110.34ドル(約146円)に下落した。テスラの株価は22年通年で約70%下落し、上場以来最悪の年間パフォーマンスを記録した。

中国では23年に入り、EVや水素燃料車などの新エネルギー車購入補助金が終了したことを受け、比亜迪BYD)、フォルクスワーゲン奇瑞汽車(チェリー)などの自動車メーカー10数社が次々に、新エネルギー車の値上げを発表した。テスラの値下げはまさに「逆張り」だ。

■値下げできるテスラ、値下げが困難なその他のメーカー

テスラの財務報告によれば、同社の22年第3四半期(7-9月期)の売上高は前年同期比56%増で、215億ドル(約2兆8400億円)近くに達した。米国一般会計基準では、テスラの同年第3四半期営業利益は37億ドル(約4890億円)で、営業利益率は17.2%だった。テスラがEV販売1台当たりで得た利益は約9570ドル(約126万円)だった。

中国で「自動車製造新勢力」と呼ばれ、いずれもEVを生産する上海蔚来汽車小鵬汽車、理想汽車の3社はいずれも、22年上半期(1-6月)に赤字を計上した。テスラと同様にEVを生産するBYDは、22年第3四半期における自動車関連事業による純利益が約1万元(約19万円)で、過去最高ではあったがテスラとの差は歴然としている。つまりテスラにとっては、利益率が「手の内のカード」となっているので、値下げ攻勢をかけられるわけだ。

市場アナリストからは、テスラの「歴史的低価格」は23年に新エネルギー車市場の競争をさらに激化させるとの見方が出ている。テスラの低価格攻勢は消費者には恩恵をもたらすが、赤字状態あるいは微々たる利益しか出せていない自動車メーカーにとっては「大打撃」になるという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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