日本僑報社 2023年1月22日(日) 8時0分
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「日本に行くなら、帰って来なくていいわよ」。3年前、日本に留学したい思いを母に伝えた私は、こう怒られてしまった。
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「日本に行くなら、帰って来なくていいわよ」。
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3年前、日本に留学したい思いを母に伝えた私は、こう怒られてしまった。その時の私はただ黙って泣くことしかできなかった。感情に任せて言った言葉だとすぐにわかったけれど、日本に留学したいと言っただけでそんなに怒られるのかと驚いた。母の世代以上の中国人の間に、日本人に対する壁が未だに存在していることを深く感じた。
人々はいつもメディアに認識を左右される。しかしメディアの情報は一方的で、偏見が多いと私は思う。「実際に日本人と接したことがなく、日本人の本当の考えをわかっているわけでもないのに、勝手にレッテルを貼るなんて嫌だ」。その時、一生をかけてやりたいことを見つけた。それは、日中の架け橋になることだ。
小さい頃からずっと日本の文化に触れ、日本のことが大好きだったから、日本人の方もきっと優しくしてくれると勝手に想像していた。このような気持ちを持って、私はインターネットで日本人の友達を作った。その中で一番仲が良いのは、日中オンライン交流イベントで知り合った人だった。毎日電話したり、メッセージを送ったりして、私たちの視野はインターネットを通じてどんどん広がっていった。
食事を始める前に母の手料理の写真を撮ると「またあの日本人に送るの」と時々聞かれた。「褒められたよ」と伝えると、母も笑って喜んでくれた。このように、日本人の友達のことは私を通じて少しずつ母にも知ってもらった。友達の話は母との会話の中にも時々出てきた。母の日本人に対する親近感が少し増したかなと思うと思わずにやにやしてしまうほど嬉しくなった。
残念なことに、2019年の末に、新型コロナウィルスが中国で発生した。日本に留学する長年の夢も叶わず、そのまま中国の大学に入るしかなかった。悔しくて、悲しくて、どんどん元気がなくなって、勉強する気もなくなった。そして、日本人の友達と連絡を取ることもなくなっていった。
ある日、母は珍しく、自分から日本人の友達のことを話した。「あの日本人の友達、最近どう?全然話しないね」「えっ、どうしたの」「いや、日本でも最近コロナが出たそうだから」。母の心配そうな顔に少し驚かされた。母が友達のことを心配するなんて、全然考えた事もなかった。そして、母に言われたこともあり、チャットアプリを開いたら、このようなメッセージが届いていた。
「周さん、最近どう?メッセージが全然来なくて、ちょっと心配。コロナのせいで、日本に留学することができなくなっちゃったね。でも周さんなら絶対いつか日本に来られるって信じてるよ。僕たちが初めて知り合った時のこと、覚えてる?最初は日本人は嫌われてるかもって心配してたんだけど、君は『友達になりたい』って言ってくれたよね。本当に嬉しかったよ。誕生日の時、わざわざ歌を歌って、絵を描いてくれて、本当に感動した。その時すぐに家族に伝えたよ、『僕、中国人の友達から誕生日プレゼントをもらったよ』って……」
何十回もとり直した歌、インターネットで調べながら一生懸命書いた絵。当時の思いがよみがえって涙が落ちた。その時初めてわかった。純粋な気持ちを持ち、お互いの文化を尊重し、誠実に付き合えば、きっと真に相手を思いやる気持ちが生まれてくるのだと。
今年2022年は日中国交正常化50周年だ。私は日本語で中国について紹介する動画を作ったり、交流イベントで日本人と交流したりして、日中の架け橋になるために自分でできることに、より一層熱意を持って取り組んでいる。そのような活動を積み重ねて理解を深めていけたら、両国民の親近感はきっと徐々に高まっていくと信じている。私は今後も日中民間交流を活発にし、さらなる努力を厭わず日中の架け橋になるべく尽力していきたい。
■執筆者:周美彤(広東理工学院)「一生をかけてやりたいこと」
※本文は、第18回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「日中「次の50年」――中国の若者たちが日本語で綴った提言」(段躍中編、日本僑報社、2022年)より転載・編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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