春節連休を迎えた中国、“諸般の事情”あって「リベンジ性海外旅行」する人は限定的

Record China    2023年1月23日(月) 18時0分

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中国では長期に渡って認められなかった海外旅行が解禁されたが、さまざまな理由で「リベンジ性の海外旅行」をする人は限定的という。一方、春節期を迎えて国内での移動は着実に増えている。写真は旅行杭州東駅。

中国では21日、春節(旧正月、2023年は1月22日)に伴う7日間の大型連休が始まった。新型コロナウイルス感染症が発生してからは極めて厳しい旅行制限が設けられていたが、22年11月からは規制が次々に解除された。ところが、海外旅行についての規制が大幅に緩和されたにもかかわらず、コロナ前に見られた春節連休中の爆発的な出国ブームは出現していない。“諸般の事情”があるからという。

前年の22年の春節期には海外旅行の厳しい制限が続いていた。そのため今年の場合、海外旅行をする人が大いに増えたことは事実だ。旅行サイト「Trip.com」によると、今年の春節旅行中にインターネットを通じた中国人による海外旅行の予約件数は前年同期比で5倍以上に増加した。

しかし、出国が久しぶりで解禁された反動としての、「リベンジ性海外旅行」は期待されたほど多くはない。中国人旅行客を当て込んでいたインドネシア・バリ島などでも「かつてのように“群れ”をなした中国人観光客の姿は見られない」状態だ。

まず第一の要因としては「間に合わなかった」ことがあるという。タイ旅行会社協会の関係者は、多くの中国人が、所持していたパスポートが期限切れになってしまい、春節期までの再取得が間に合わなかったとの見方を示した。また、航空便が依然として少ないことも挙げた。タイの旅行会社は今も、団体旅行の取り扱い準備を急いでいる段階という。

ブルームバーグの報道によると、中国のオンライン旅行会社である「国際竜途」によれば、1月4日から7日の期間に中国国内の49都市の1058人を対象に実施した市場調査によると、回答者の4割近くが「年内に海外旅行をするつもりはない」との考えを示した。うち、「感染症流行が経済状態に影響を及ぼしたこと」を理由とした人は54.9%だった。また、「旅行したことで自分や家族が感染することが心配」とした人は54.2%を占めた。

経済状況について言えば、中国国家統計局は17日、22年には個人消費、家庭の貯蓄、賃金収入などの伸びが鈍化したと発表した。同年の経済成長率は1970年代以降で2番目に低い水準の3%にとどまった。

一方で、人気を集めている旅行先は香港とマカオを含む中国国内だ。特に香港とマカオは盛況だ。観光名所として有名なセナド広場や聖ポール天主堂跡では、1月15日をすぎたころから人であふれるようになった。主要カジノは大勢の中国人観光客でほぼ満席になった。土産物屋店主の一人は、「毎日が忙しくて、休む暇のない状態」と述べた。数週間前にはほぼゼロだった売上高は、感染症発生の直前の7割から8割にまで回復したという。

上海からやってきた観光客は、感染が心配でまだ海外旅行をする気にはならないが、マカオならば比較的安全と考えてやってきたという。また、外国に入国するのと違ってマカオ旅行ならば手続きが楽であることも関係したという。

感染を心配する心理は、今も海外旅行者数の増加にとってブレーキになっている。広東省広州市の女性は「家族に高齢者がいる。まだ感染したことはない。だからリスクは冒したくない。他の変異株ウイルスに感染する可能性もある」と説明した。新型コロナウイルス感染症の発生前にはアフリカ旅行を計画しており、今も行きたいと思っているが「不確実性が残っているので自粛する」ことに決めたという。

中国が感染症対策を緩和した後に、米国や日本、韓国、オーストラリアが中国から来た旅客に対する規制を強めたことも、中国人が海外旅行をためらう要因だ。北京在住の男性の一人は、「多くの国がわれわれを歓迎していないようだ」と述べた。旅行先として考えているのは海南島や雲南省のシーサンパンナなどで、中国国内の亜熱帯地域で、温暖な気候を楽しむつもりという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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