米国、比国内4カ所に新たな軍事拠点、バシー海峡挟んで台湾に近いルソン島北部にも

Record China    2023年2月4日(土) 17時0分

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米比両国は中国の脅威に対抗して比国内で米軍が使用できる軍事拠点を新たに4カ所設定することで合意した。バシー海峡を挟んで台湾とも近いルソン島北部も含まれているとみられる。写真はルソン島。

フィリピンを訪問した米国のオースティン国防長官は2日、ガルベス比国防相と会談し、中国の脅威に対抗して比国内で米軍が使用できる軍事拠点を新たに4カ所設定し、計9カ所とすることで合意した。4カ所の具体的場所は明らかにされていないが、バシー海峡を挟んで台湾とも近いルソン島北部も含まれているとみられる。

1898年から第2次世界大戦まで米国の植民地だったフィリピンは、米国と1951年に相互防衛条約を結び、同盟国となった。国内には米軍最大の海外基地のうちクラーク空軍、スービック海軍の両基地が位置していたが、91年に比議会が主権侵害を主張してすべての米軍基地に対する権利放棄を要求し、米軍は撤収した。

その後、米比両国は2014年に国防協力拡大協定(EDCA)を締結。米軍は空軍基地4カ所と陸軍基地1カ所に海兵隊などの兵力を循環配置しているが、ルソン島北部は含まれていなかった。

ロイター通信などによると、オースティン長官はガルベス国防相と同盟強化へのコミットメントを再確認。EDCAに基づく今回の合意を「ビックディール」とし、「われわれの同盟は両国の安全を高めるとともに、自由で開かれたインド太平洋の維持に資する」と述べた。

さらに「西フィリピン海(南シナ海)を含むフィリピン周辺海域での不穏な活動に対処する具体的行動について協議した。われわれは武力攻撃に抵抗するため相互の能力を強化する所存だ」と指摘。その上で「これは両国の同盟を近代化する取り組みの一部にすぎない。中国が西フィリピン海で法的正当性のない主張を繰り広げており、こうした取り組みは特に重要だ」と説明した。

比政府当局者は「米国との軍事協力強化は自国の防衛態勢に役立つが、こうした安全保障強化の推進が特定の国を狙ったものではない」と強調。「マルコス大統領は台湾海峡と西フィリピン海の状況を綿密に注視している」と言及した。比高官によると、10カ所目の拠点利用についても議論が進んでいるという。

中比両国間では最近、緊張が高まる動きが相次いでいる。昨年11月、中国海警局の公船が南シナ海で比海軍が曳航中だった中国のロケットの残骸を強制的に押収。12月には中国の民兵隊の船舶が西フィリピン海で船団を組んで航行する姿が見られたりもした。さらに比国が独占漁業権を持っている岩礁付近で操業中だった比漁船を中国船舶が追い出したこともあった。

新たな軍事拠点について、米戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・ポーリング上級研究員は「今回の措置は単に台湾や南シナ海の偶発状況に備える意味で重要なだけでなく、比国が同盟の現代化に全面的に参加し、現代的な同盟は彼らにも責任があるということを理解しているというシグナル」との見方を示した。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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