研究者も驚き、19歳の北京市在住男性を世界最年少のアルツハイマー患者と診断―中国

Record China    2023年2月7日(火) 7時0分

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北京市在住の19歳男性が、アルツハイマー病と確定診断された。これまでで最も若い患者と言う。(写真は現代的医療を示すもので、アルツハイマー病に特化されたものではありません)

知能や知性が不可逆的に低下する認知症のうち、6割から7割がアルツハイマー病(アルツハイマー症)に分類される。アルツハイマー病は大半が65歳以上で発症するので、日本ではそれ以下の年齢で発生した場合には「若年性アルツハイマー病」などと呼ばれる。「若年性」の場合には「40代でも発症する場合がある」とされているが、中国ではこのほど北京市在住の19歳男性が、アルツハイマー病患者と診察された。

この男性を診察した北京市内の首都医科大学宣武医院(病院)神経内科の賈竜飛主任医師によると、19歳でアルツハイマー病を患っていることを、最初は信じられなかったという。しかし、アルツハイマー病についての複数の検査手段を次々に適用した結果、医師チームは最終的に患者をアルツハイマー病と臨床診断した。

ただし賈医師による、アルツハイマー病の若年層への広がりを心配する必要はない。現在は比較的若いアルツハイマー病の患者が発見されるようになったが、主に検査技術の進歩により、これまで発見できなかった患者を発見できるようになったと理解すべきという。

北京市在住の19歳の患者については、首都医科大学の賈建平教授が率いるチームが執筆した論文が、国際的に有名な学術誌の「アルツハイマー病ジャーナル」1月31日号に掲載された。

論文によると、患者はまだ高校生だった2年前に勉強に集中することが困難になり、短期記憶の欠落に悩むようになった。1日前の出来事を思い出せなくなったり、持ち物をどこに置いたか忘れてしまうようになった。宣武医院に来院して診察を求めたのはそのためという。

患者は食事をしたかどうかも思い出せなくなった。発症前には高校で中程度の成績を維持していたが、学習が困難になって退学せざるをえなくなった。ただし患者は、まだ自立して生活できている。

論文によると、これまでアルツハイマー病と診断された最も若い患者は21歳で、ある遺伝子が突然変異を起こしていた。しかし28歳の患者はアルツハイマー病の原因になるPSEN1、PSEN2、APPという遺伝子3種が異変を起こしてなかった。これらから、散発的にみられるアルツハイマー病の早期発生には、通常発病に関わる遺伝子が関係していない可能性もある。

賈竜飛医師によると宣武医院では、アルツハイマー病の可能性がある患者すべてに対して、全面的な検査を行っている。それぞれ異なる角度からの検査結果を照合してはじめて、正確な臨床診断を下すことができるからという。

19歳のアルツハイマー病患者の発見が報じられると、ネットでは自分の状態について心配する若い人の投稿が見られるようになった。賈医師は、記憶力の衰えなどがあっても、過度に心配する必要はないと説明した。記憶には多くの要素が関係しており、絶対的多数の人の「物忘れ」は、脳の問題に起因しているのではないからだ。例えば疲労の蓄積や不規則な生活、栄養に偏りがある場合には人の認知能力が低下する。しかし、一定期間の休息を取れば、認知能力は回復する。ほとんどの人にとって、認知能力の低下を感じても、よい生活習慣や規則正しい生活をすれば十分戻るという。

賈医師は「これまでに全世界で、莫大な人力と資源を投じてアルツハイマー病の発症原理と治療法が研究されてきた。今回見つかった19歳の患者は、遺伝子の変異があまり認められていない。この症例は、人類がアルツハイマー病をさらに理解する上で、大きな意義を持つ」と説明した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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