10年ほど前、親の権力を笠に着て横暴な振る舞いや犯罪行為に及ぶ「富二代」が社会問題化した中国。トラブルを起こした際に親が権力を持つ「偉い人」だと虚勢を張って脅すパターンは今なお健在のようだ。

2023年2月11日、観察者網は、陝西省西安市で酒に酔った男が隣人と口論になり「俺の親父は公安局の職員だ」と脅すトラブルが発生し、男が本物の公安局から拘留処分を受けたと報じた。

記事は、ネット上で10日に隣人どうしの口論の様子を撮影した動画が拡散したことを紹介した。情報によれば、集合住宅に住む酒に酔った男が午前3時ごろから約1時間に渡ってドンドンドンドンと大きな音を立て、下の階に住む市民が苦情を言いに男の部屋に行ったところで起きた口論で、動画では男が札束のようなものを取り出しながら「俺は金持ちだ。親父は西安市公安局の職員で、兄貴は上場会社の株主だ」と言った上で、「俺との間でトラブルを起こすな。起こせばお前をぶっ殺すぞ」と階下の住民を脅したと伝えている。

そして、階下の住民が警察に通報し、男が警察官により身柄を拘束されたことを紹介。同市公安局が10日にこのトラブルに関する情報を出し、当事者の男が38歳で医療機器会社の職員であることとともに、「その父母など親族に、特殊な身分上のバックグラウンドはない」ことを明らかにした上で、男が10日未明に酒に酔って近隣住民と騒音トラブルを起こした際に「身分を偽装して他人の人身の安全を脅かした」ため、治安管理処罰法の規定に従い男に5日間の拘留処分を科す決定をしたと発表したことを伝えた。

この件について、中国のネットユーザーは「トラブルの時に、誰も『俺の親父は農民だ』って言わないよな。それは農民が弱者の集団だってことを表している。中国人はみんな農民の末裔なのにね」「今放送してる人気ドラマを見て真似をしたのか？　残念ながら時代が違うんだよな」「息子が38歳なら本当に親父が公安局職員だったとしても定年退職してるはずでは？」「こうやって公安局を権力の象徴として持ち出すのは、職員の家族が権力を笠に着てわがまま放題だというイメージが社会に定着しているからだと思うぞ」といった感想を残している。（翻訳・編集/川尻）