中国人の「リベンジ海外旅行」で資本逃避が加速―英メディア

Record China    2023年2月21日(火) 5時0分

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台湾・中央通訊社(電子版)の19日付記事によると、中国で人々による海外旅行が盛んになるほど資本逃避が深刻化すると英誌エコノミストは指摘している。写真は上海浦東国際空港。

台湾・中央通訊社(電子版)の19日付記事によると、中国で人々による海外旅行が盛んになるほど資本逃避が深刻化すると英誌エコノミストは指摘している。

記事によると、中国人の旅行意欲は旺盛で、中国旅行大手の携程(シートリップ)への問い合わせは1カ月の間に4倍に増えた。学生は留学の機会を探し、マカオでは今月、カジノと豪華なホテルが満室になった。

フランスの投資銀行ナティクシスによると、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前のパターンが再来すれば、中国の旅行支出は今年、1600億ドル(約21兆円)増加する可能性がある。

新型コロナによる3年間の制限を経て、中国で旅行ブームが起きたことは理解できるが、太陽や海、ビーチ、留学などの明確な動機に加えて、「金をひそかに国外に持ち出す」という明言されていない動機もある。

中国では資本規制により市民が購入できる外貨は制限されており、国境を越えた人の移動は金の移動を覆い隠す。中国当局が2017年に報告した事件はその一例だ。天津である個人が銀行カード39枚を入手し「留学」名目で240万元(現在のレートで約4700万円)を引き出すということがあった。

17年当時、米連邦準備制度理事会に所属していたアンナ・ウォン氏は、このルートで中国からどれだけの資本が流出しているかを計算しようと試み、人気の目的地20カ所について、国際収支、訪問者数、中国からの訪問者の支出に関する調査などさまざまな情報源を調べ、中国の国際収支で報告されたアウトバウンド支出と目的地の国によって報告されたインバウンド支出を比較した。

両者は原則として一致しなければならないが、同氏の報告書によると、14年から大きなギャップが生じ、15年には中国の国内総生産(GDP)の1%に相当する1000億ドルに達した。ウォン氏は、中国で報告された旅行支出と経済モデルによって予測されたレベルとの間に同様に大きなギャップがあることを発見した。

それ以来、政策立案者は資本規制を強化し、取引をより綿密に精査するとともに、過去のデータを修正し、旅行支出の数字からいくつかの違法な金融取引を削除した。だが疑わしいギャップは残ったままで、中国の旅行支出の数字は、目的地の国や世界の情報源から得られたものを依然として上回っている。

ナティクシスは14日に発表した報告書で、20年には旅行者数が急減したにもかかわらず、ギャップは中国のGDPの約0.5%に相当する680億ドルに上ると推計している。

中国の経済活動再開(リオープン)に伴い、資本規制を回避する機会は増える。人民元は安定し、今年は経済が力強く成長するように見える。各家庭にはパンデミックの間に蓄積された大量の預金がある。この国で伝統的に富のターゲットとして好まれてきた不動産市場は瀕死(ひんし)状態にあることから、多くの人が視野を広げるために旅行をし、資産ポートフォリオを多様化したいと考えている。(翻訳・編集/柳川)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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