中国訪日客のコロナ水際措置を大幅緩和=観光地・デパート、「爆買い」再来を期待―航空便増便へ

Record China    2023年3月3日(金) 9時0分

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日本政府は中国からの訪日客に対する新型コロナウイルスの水際措置を大幅に緩和。日本の観光・旅行・流通業者は「今後訪日客の急増が見込める」と期待している。写真は東京。銀座。

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2022年3月1日、日本政府は中国からの訪日客に対する新型コロナウイルスの水際措置を大幅に緩和した。入国時の全員検査をやめ、香港とマカオを除く中国本土便による入国者の最大2割程度を対象とするサンプル検査に変更した。コロナ禍前の2019年には訪日客全体の30%を占め、消費額は38%に達していた中国からの訪日客について、日本の観光・旅行・流通業者は「待ちに待った時が到来した。今後急増が見込める」と期待。政府も「訪日客の拡大は日本経済にとって貴重な成長戦略になり得る」(観光庁)と2030年に訪日客数を6000万人に増やす政府目標達成に向け、インバウンド促進のための具体策を構築する方針だ。

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中国本土からの直行便の到着はこれまで成田、羽田、関空、中部の4空港に限っていたが、それ以外の空港への到着や増便を認めた。出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書の提出は引き続き求める。マカオからの直行便での入国者については、陰性証明書かワクチン接種証明書のいずれかの提出を求める。国際クルーズ船の寄港も再開した。日本政府は緩和の理由について、入国者の陽性率が低水準にとどまっていることや、これまでに水際で確認された変異株は全て日本で検出歴のあるオミクロン系統であることなどを挙げた。松野博一官房長官は2月末の記者会見で「中国の感染状況や主要国の水際措置の状況を見つつ、柔軟に対応していく」と語った。

新型コロナウイルス禍で受け入れを停止していた海外クルーズ船が3月1日、清水港(静岡市)に寄港した。日本への寄港は3年ぶり。国土交通省によると、2023年の海外クルーズ船の寄港数は約1200回とコロナ禍前の6割程度の水準まで回復する見通し。海からの訪日客の急増と消費に期待が集まる。

日本政府は昨年12月30日以降、中国の急速な感染状況の悪化を受け、7日以内に渡航歴がある人を含め、香港を除く中国からの入国者全員を対象に検査を実施し、陰性証明書の提出も求めていた。

政府が昨年10月、中国本土以外の入国規制を緩和した。日本政府観光局によると、今年1月の訪日外国人は149万7300人とコロナ前(19年)実績の55.7%の水準まで回復。前年同月比で約84倍の水準だ。東アジアからの訪日客数は100万人を超えた。国・地域別では、韓国が56.5万人でトップ。以下台湾25.9万人、香港15.2万人、米国8.8万人の順。中国は3.1万人にとどまった。これに中国本土からの訪日客が加わったら、22年通年で19年(約3200万人)以来となる年間2000万人超えも視野に入ってきた。今回の中国本土からの水際対策緩和を受け、デパート、ホテル、航空、鉄道など観光関連業界は「中国本土からの訪日客は存在感が圧倒的で、“爆買い”現象が再来する」と期待している。

株式市場で注目されるのがインバウンド関連銘柄だ。百貨店株を中心に買いが向かい、エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急・阪神・東宝グループの小売業)、J・フロントリテイリング(大丸・松坂屋)、三越伊勢丹ホールディングスが急上昇。資生堂やコーセーなど化粧品株も堅調に推移している。

中国では厳格なゼロコロナ政策からウィズコロナへの移行が進み、消費者心理も改善している。中国のシンクタンク幹部は「これまで3年間も行動が制限されどこにも行けないような状況が続いていたため、最近は若者を中心に買い物や映画、旅行と消費が一気に強く出ている」と指摘。日本行き団体旅行の販売禁止やビザ(査証)申請・パスポートの取得手続きなどを考慮すると、日本への旅行者の本格回復は少し先になるとの見方もあるが、期待は大きく膨らんでいる。これら「障害」も早晩取り除かれると見られる。

日中間の航空便数が大幅に減っていることもネックとなるが、日本政府は航空会社に増便を認める方針を示した。実際の増便には中国側の認可も必要となるが、航空会社は「人の行き来が増える3月中に増便できるようになればいい」と期待している。

2022年の訪日客数は2019年比88%減の383万人にとどまったものの、2022年10月11日に個人旅行の受け入れおよびビザ免除措置が再開されて以降、急回復。2019年同月比で10月が80%減、11月が61.7%減、12月は45.8%減の137万人となり、順調に回復した。2022年12月の実績を市場別で見ると、韓国が2019年同月比で83.9%増と顕著な伸びを示した。2019年が日韓関係の悪化で落ち込んでいた影響があるが、2018年同月比でも67%まで回復した。

日本政府は2016年、訪日客数を20年に4000万人とする目標を掲げ、19年には3188万人に達した。同年の訪日外国人の消費は4.8兆円だった。コロナ禍で急減したが、30年に訪日客数を6000万人に増やす政府目標を維持。目標達成に向けインバウンド促進のための具体策を再構築し、推進する方針だ。

中国は新型コロナ対策として外国から中国本土に入る際に義務づけていた隔離措置をなくし、「ゼロコロナ」政策を事実上終了。海外旅行についても本格的に再開させる方針を示している。(八牧浩行

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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