Record China 2023年3月12日(日) 12時30分
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最近になり中国人女性が日本の島を「購入した」として注目を集めた。写真は中国で初めて無人島の使用権証明書が発行された寧波の旦門山島。
最近になり中国人の30代女性が日本の島を「購入した」として注目を集めた。日本では、「わが国の安全保障上の重大な脅威」とまで論じる人が出現したほどだ。しかし実際には、富を形成した中国人の「ロマン」と「金銭事情」、さらには中国政府による国内行政の方針などさまざまな要因が絡み合うメカニズムにより、「中国国外の島を購入」という動きになったとみられる。中国メディアのTMTポストはこのほど、中国人富裕層による島購入の実態を紹介する記事を発表した。
中国では土地は全て国家資産とされており、土地売買はできない。ただし、土地の使用権の売買は可能なので、実際には市場が形成されている。中国政府は2003年に発表した「無居住島の保護及び利用管理規定」で、個人や法人による無人島の開発や利用について定めた。
中国には20年時点の統計で、1万1000カ所以上の島があり、うち96%が無人島という。そして無人島の使用権を獲得する、つまり「事実上の島主」になるための費用は低い。遼寧省の面積1ヘクタールの島の場合、使用料の取得料はわずか3700元(約7万2000円)という。
中国でもダニエル・デフォーの「ロビンソン漂流記」はよく知られている。人気作家の金庸も、「桃花島」という小説で無人島での生活を描写した。財をなした中国人が、「無人島の島主になる」ことにロマンを感じるのも、無理からぬところだ。
しかし、「島主」の権利を得るための費用はさほどかからなくても、手続きは大変だ。まずは所管する行政部門に、個人の信用証明、島利用案、利用に伴う島の保護案、無居住島利用申請書などを含む申請資料を提出しなければならない。また、中国では個人的な単純なロマンとして「島主」になることは認められていない。開発せねばならないことが義務付けられているからだ。3年以内に開発と利用開始ができていなければ、政府は島の使用権を回収してしまう。
したがって、行政側に認められた計画に従って、島の開発に取り組まねばならない。この開発のために莫大な投資が必要になる。現在までに、浙江省、海南省、広東省、広西省、遼寧省など多くの省が無人島の開発を自由化しており、各省で自由化が発表されるたびに大きな話題になった。しかし実際には、「無人島ビジネス」に乗り出す動くはごくわずかという。
費用を最小限に抑えようとして、島の自然に手をつけずに訪問客を受け入れる「観光開発」だけにすれば、どんなに条件のよい島でも、1ヘクタール当たりの売上高は1万元(約20万円)に満たない。宿泊施設などを建設しようとすれば、当局側の審査に合格せねばならず、使用権料もはね上がる。当初は定められていなかった海の埋め立てを行おうとすれば、もちろん許可を得ねばならず、使用料は1ヘクタール当たり2455万元(約4億8000万円)にはね上がる。
中国では島の開発について、所管する行政部門が多岐に渡っていることも、「島主願望の実現」の妨げになっている。開発権は海洋部門が所管し、企業誘致は地元の誘致局の計画に沿っておらねばならず、計画と建設は計画局と住宅建設局が所管し、プロジェクトについては発展改革委員会の許可を得ねばならない。
中国と対照的なのが、モルディブだ。モルディブ政府は民間力を活用して無人島を活性化することを、観光業育成の重要な柱と認識している。開発にあたっては「低層建築」「低密度開発」「低用量利用」「高緑化率」など、自然や景観を保護するために要求があるが、無人島開発は政府の専門部門が一元的に所管していることで、中国とは大きな違いが出ているという。
モルディブの場合には、島に建てられた宿泊施設は政府の所有であり、投資家には20-30年の期間限定の経営権を譲渡している。しかし、投資側にとって速やかに利益を上げられる仕組みが構築されているので、公開入札の際には自国内外の多くの投資家が応札するという。
中国の場合には無人島の使用権が与えられる期間は最長で50年間であり、それはモルディブよりも長い。しかし各種手続きに時間がかかる。そのため、「島主」になったとしても、開発が完了した時点で使用権の期限切れまで「秒読み」の状態になってしまうという。
中国国内での「島主」になれたとしても、成功している人は極めて少ないとされる。「島主」にどうしてもなりたいならば、海外に目が行くのは自然な成り行きだ。中国のネットメディアは、モルディブで島の経営に成功した事例を紹介する記事を発表している。(翻訳・編集/如月隼人)
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