中国新聞社 2023年3月19日(日) 23時0分
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中国武術を愛好し、鍛錬に励む外国人も珍しくない。カザフ人のティムル・クバトフさん(本文ページ写真)もそんな愛好者の一人であり、中国武術のアジア大会で優勝したこともある「達人」だ。
中国には古くから、さまざまな武術が伝わっている。中国武術を愛好し、鍛錬に励む外国人も珍しくない。カザフ人のティムル・クバトフさんも、そんな愛好者の一人だ。愛好者といっても、カザフスタン国内やアジアの武術大会の優勝歴や世界選手権の入賞歴があり、カザフスタンチームのコーチを務めたこともあるというから、本格的だ。58歳になった現在、「カザフスタン・トゥデー」というメディアの社長兼編集長という激務をこなしながらも、毎日の練習を欠かさないという。ティムル・クバトフさんはこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、中国武術に親しむようになった経緯や、中国武術に対する見方などを語った。以下はティムル・クバトフさんの言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
私が最初に中国武術に触れたのは1980年代だった。中国武術を愛する多くの外国人と同じように、子供だった私はカンフー映画を見て、武術を習うことを決めたのだ。私が住んでいたアルトマイの街でも、カンフー映画は大人気だった。カンフーのできる人は何でもできて、まるで超能力の持ち主のように思われていた。
私はまず最初、自分で本を読んだり映画を見たりして自我流で武術を学んだ。しかしその後、中国の蘭州や北京に行って師匠について系統的に学んだ。蘭州の武術チームのある訓練生が、私に双鉤という武具をプレゼントしてくれた思い出もある。
中国武術は、単に相手との攻防の際にだけ使う技術ではない。きちんと学べば、自分の生活様式の一部になる。私にとって武道は心身を鍛える助けだ。私自身は仕事が忙しく、各地に出張することも多いのだが、時間を作っては毎日2回の稽古を続けている。私の稽古場にはさまざまな武具が置かれている。稽古を始める際にはしばらくウォーミングアップをしてから、武具を持っていろいろなパターンを練習する。なかなか信じてもらえないかもしれないが、私は武術の稽古をすることで、健康的な体を維持するだけでなく、思考の面でも集中力を維持できていると感じている。
私には5人の子がいる。いずれも武術が大好きだ。だから一緒に稽古することも多い。私の子は中国文化に興味を持っているが、彼らには成長するにつれて、できるだけ多く中国と触れて、中国文化を理解するようになってほしいと思う。
中国武術は中華文明の至宝だ。中国武術にはスポーツの要素だけでなく、儒教、同郷、仏教の思想が多く含まれている。例えば中国武術は、自然と人は分けることができないという「天人合一」や、万物は「陰」と「陽」の対立や統一によって進展していくという「陰陽弁証」の哲学概念を体現している。中国武術は、この世を生きる上でわが身をどのように処すべきかという中国人の知恵や、人生や自然、宇宙万物に対する中国人の考え方や感じ方の具体化でもある。
武術とは人体の運動だ。従って自然の法則に厳密に支配される。人は自然の法則に順応してこそ、自然との調和と統一に到達できる。中華民族は古くから哲学を尊んできた民族だ。中国武術の達人は昔から品性が高く、学識が豊かで、思想が鋭敏で、知恵に富んでいた。だから、中国武術は「哲学の拳」と言える。形式から内容までのすべてが哲学の思想や文化を含んでいる。武術の達人は武術の場だけでなく、日ごろの思考や行働が、知らず知らずのうちに武術の影響を受ける。逆に、武術や日常生活を通じて身につけた哲学を、自然に武術に生かすようになる。
中国武術にはさまざまな種類があるが、それらに伴う素朴な哲理は同一だ。それは、万物の統一と生き生きとした生命力を重視することであり、そのことにより自然と人類の発展と変化を相互に結びつけ、調和と平衡を目指す運働とすることだ。武道を習う過程で道徳や知力、エネルギーを完璧に結びつけることができ、精確な技を実現することができる。さらには自らの考えや思考を完璧にコントロールすることができるようになり、「天人合一」や「人器合一」を真に達成できるようになる。武術の素晴らしい技の背後には、果てしない文化の泉がある。
カザフスタンは、中国が最初に提唱した「一帯一路」に、最も早い時期から賛同した国の一つだ。両国の交流や協力がますます増え、民衆の往来もより親密になった。多くのカザフスタン人が中国の伝統文化を愛し、多くの時間をかけて精力的に中国語を学び、中国武術や中国に伝わる医学、中国の伝統的な美食により強い興味を持つようになった。われわれは中国の豊かな文化と歴史遺産を理解しようと努めている。
私は長期にわたりカザフスタンと中国の交流に従事しており、中国の発展に興味を持っている。カザフスタンの人々には、中国が経済社会など多くの分野で得た進歩について少しでも理解してもらいたいと思っている。そのため、「カザフスタン・トゥデー」のウェブサイトには、カザフスタンの人々に中国関連の情報を紹介する「中国トゥデイ」というコーナーを開設している。
今年は「一帯一路」共同建設構想が提起されてから10周年にあたる。両国は長年にわたり、健康・医療、グリーン経済、デジタル化イノベーションなどの分野をカバーする全方位的な互恵協力を展開してきた。私は、「一帯一路」共同建設の推進に伴い、さらに密接になった交流により、カザフスタンに新たな中国文化ブームや中国武術ブームが到来することを期待している。(構成 / 如月隼人)
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