Record China 2023年4月8日(土) 5時0分
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中国がメコン川流域に建設あるいは計画中の水力発電ダムについて、海外メディアは「季節外れの洪水や干ばつを引き起こす懸念が強まっている」と報じた。写真は景。
中国が東南アジアのメコン川流域に建設あるいは計画中の水力発電ダムについて、ロイター通信は「季節外れの洪水や干ばつを引き起こす懸念が強まっている」と報じた。複数の研究者は「ダムによって水流が変化し、コメ栽培などに欠かせない川底の沈殿物もせき止められている」とも指摘した。
チベット高原から南シナ海へ約4350キロを流れるメコン川は、流域の中国、ラオス、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムに住む数千万人の農業や漁業を支えている。
ロイター通信によると、石炭への依存を減らし、再生可能エネルギーを増やす方針の中国では1995年以降、「ランカン川」の名で知られるメコン川上流に十数基のダムが建設された。うち五つはそれぞれ100メートル以上の高さがある「巨大ダム」だ。
中国はメコン川に流れ込む支流にも少なくとも95基の水力発電用ダムを建設済みで、今後も数十基の建設を予定している。また、メコン川下流にある他国でのダム建設事業への資金援助も行っている。
下流域のタイ、カンボジア、ラオス、ベトナムから成る政府間機関「メコン川委員会(MRC)」の推定では、チベット高原や中国・ミャンマーのメコン川上流域にある水力発電ダムで得られる電力は、年間約40億ドル(約5237億円)相当に上る。
ただ、メコン川流域で計画されているダムがすべて建設された場合、川の堆積物が上流で閉じ込められるため、流域の主食であるコメの栽培に影響を及ぼしかねないと複数の研究で予測されている。
さらに、ダムが魚の回遊を止めたり水流を変えたりすることで生じる漁獲量低下の損失額は、MRCによると2040年までに230億ドル近くになると見込まれている。加えて森林や湿地、マングローブの破壊による損害は1450億ドルにまで上る可能性もあるという。
19年から21年にかけての干ばつでは中国のダムが多大な水量をせき止めたことが原因でメコン川の水位が記録的に低下。干ばつが悪化したことがメコン川でダムの監視を行う米シンクタンク、スティムソン・センターと環境調査会社「アイズ・オン・アース」の衛星監視による調査で判明した。
中国は降雨量が少なかったためだとして調査結果に反論。20年には年間を通じて自国内の流量データを共有することでMRCと協定を結んでいるとしている。環境保護団体「リバーズ・インターナショナル」のタイ・ミャンマー支部で代表を務めるピアンポーン・ディーツ氏は「川が水力発電の動力源のためだけに使われてしまえば、大勢の命や生活に影響する。食料や伝統、習慣、生き方に関わる問題だ」と警鐘を鳴らした。(編集/日向)
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