中国で「尊厳死」選ぶ動きが徐々に広まる、生前に意志示す「リビングウイル」にも注目

Record China    2023年4月30日(日) 6時0分

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苦痛を伴う延命治療を拒否して「尊厳死」を選ぶ動きが中国で少しずつ広まっている。元気なうちに自分の意志を文書などに記しておく「リビングウイル」にも注目が高まっている。

病気などで助かる見込みがないとして、苦痛を伴う延命治療を拒否して「尊厳死」を選ぶ動きが中国で少しずつ広まっている、と中国紙が報じた。元気なうちに自分の意志を文書などに記しておく「生前預嘱(リビングウイル)」にも注目が高まっている。

AFP通信が紹介した東方新報の記事によると、広東省深セン市では今年1月1日、改正医療条例が施行され、中国で初めてリビングウイルについての条項が盛り込まれた。医療機関は治癒不可能な終末期の医療措置を行う際、気管挿管や心肺蘇生、生命維持装置の利用などについて患者が事前に表明している意志を尊重するとしている。

リビングウイルは、公証人への届け出や2人以上の証人を必要とし、治療に当たる医療関係者は証人に含めない。本人の意志は文書もしくは録音、録画などで示す。

昨年6月に深セン市で改正医療条例が制定されると、7月には女性弁護士がリビングウイル申請第1号となり、公証人に認められた証明書を公開した。女性弁護士は「義父が90歳近くで亡くなるまで、私たちは延命治療を希望しましたが、全身に挿管された義父の姿は痛ましいものでした」と説明。尊厳死に関心を持ち続け、「臨終決定権」を認める深セン市の条例改正を知り、すぐに届け出ることを決めたという。  

中国では「死」に関する話題はタブーとされており、日常的に話題になることは少ない。その影響もあってか、末期患者の医療措置は延命措置ばかりが重点に置かれ、緩和ケアのレベルは世界の主要国で遅れていると指摘されている。

民間レベルでは2006年に尊厳死を求める団体が設立され、13年に北京市リビングウイル普及協会が誕生。深セン市は北京に次いで21年に普及協会が発足している。北京市リビングウイル普及協会が公開しているリビングウイルのテキスト見本「私の五つの希望書」は5万人が記入している。

昨年には87歳の女性翻訳家が末期の腸がんとなり、リビングウイルを提示して延命治療を断り、緩和ケアを受けながら息を引き取った。亡くなる直前、女性は「痛みも不快感もない」と語っていた。

中国政府は17年から全国の一部の病院で緩和ケアを試行的に導入し、ホスピスの建設も進めている。家族が24時間いつでも見舞いができ、家庭的な雰囲気の中、安らかな最後を迎える人も増えている。東方新報は「深セン市の改正条例が制定した際、インターネット上では『尊厳死を支持する』と肯定的意見が多かった。中国でも『死』と向き合う意識が広がりつつある」と伝えた。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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