今年の日本のアニメ映画はなぜ強いのか―中国メディア

Record China    2023年5月11日(木) 10時0分

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中国のポータルサイト・今日頭条にこのほど、「今年の日本のアニメ映画はなぜ強いのか」とする文章が掲載された。

中国のポータルサイト・今日頭条にこのほど、「今年の日本のアニメ映画はなぜ強いのか」とする文章が掲載された。

文章は、「新型コロナウイルスの流行が落ち着いたことで人々は映画に足を運びやすくなった」と前置きし、日本のアニメ映画の好調ぶりを紹介。中国では4月20日に映画「THE FIRST SLAM DUNKスラムダンク)」が公開され、初日には多くの1980年代生まれがユニフォームを着て行列をつくり、映画を観賞したといい、「『今の大人に向けた懐かしい物語』や『一生に一度』といったトレンドワードはファンたちの心情を表していた」と評した。

また、これに先立ち3月24日に中国で公開され記録的なヒットとなった「すずめの戸締まり」にも言及し、「この2作の映画では青春と成長が共通のテーマであるが、感動するのは若者だけではない」と指摘。「4月の映画館では、少女が制服のスカートをはいて『すずめの戸締まり』の宣伝ポスターの前で記念撮影をし、(スラムダンクの)中年男性ファンは群れをなして『湘北五虎』と書かれたポップコーンカップを持って入場を待っていた。1980年代生まれと2000年代生まれの間の壁が開かれた(同じように夢中になった)のは、日本アニメの影響が大きいことを物語っている」とした。

中国では4月に「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」が公開されたほか、6月1日には宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」が再上映される予定だ。

文章は、「この春、日本のアニメ映画は中国映画市場に火をつけ、興行収入と評判ともに他の作品をリードし、観客が映画館に足を踏み入れる動機づけになったと言える。春節(旧正月)からメーデーにかけて、日本のアニメは重要なつなぎと盛り上げ役としての役割を果たした」と評した。

その上で、「『スラムダンク』や『すずめの戸締まり』の観客層だけを見ても、日本アニメのファン層には何世代もの人々がいることが見て取れる」と指摘。映画の興行収入分析アプリ「猫眼専業版」のデータを引用し、「スラムダンク」を観賞したいと回答した年齢層として、30~34歳が25.6%、35~39歳が23.5%、さらには40歳以上も13.1%に達していることを挙げ、「つまり、30代以上の観客層が半分以上を占めており、この人たちの多くは80年代生まれ。『スラムダンク』のアニメを見て育ち、強い思い入れを持っているのだ」と指摘した。

さらに、「すずめの戸締まり」のデータにも言及。同作を観賞したい男女比は均衡しており、20歳以下が36.1%、20~24歳が31.9%を占めているとした上で、「つまり、観客の約7割が1999年生まれと2000年代生まれのグループだ」と言及。2作のアニメ映画について文章は、「それぞれ異なる視聴者層に向けたものだが興行収入的にも成功している」とし、「日本のアニメが中国の視聴者にとって受け入れられるその核心は、やはり内容がしっかりしていることだ」と述べた。

文章によると、昨今でこそ日本のアニメ作品はヒットしているが、2015年までは日本のアニメ映画だけでなく日本映画全体が中国では大きな注目を集めることができず、興行収入は低調だったという。興行収入が億(人民元)を軽く超えるハリウッド映画や中国の大作映画に比べ、日本映画はマイナーなジャンルであり、中国の映画館は日本のアニメ映画のためにマーケティングや宣伝を行う動きが不足していたそうだ。

文章は、「2015年には日本のアニメ映画『STAND BY ME ドラえもん』が中国で公開され、興行収入は5.29億元(103億3100万円)に達した」とした上で、「(同作の)飛びぬけた市場パフォーマンスにより、日本映画は採算が取れないという業界の見方を変えた。そして、2016年には中国の各映画館で9本の日本アニメ映画が上映され、その数は過去のどの年をも上回り激増した」と説明した。

また「注目すべき点は監督の過去の作品や二次元文化に対する観客の信頼だけではない。『すずめの戸締まり』や『スラムダンク』が成功したのは、観客層を絞り込んだ的確なマーケティングにある」とも分析した。

この2作の映画はどちらも同じ上海路画影視伝媒有限会社が中国への配給・宣伝を担当しているという。文章は、「中国側は3月17日、『すずめの戸締まり』の新海誠監督を北京大学百周年記念講堂に招待し、『馳走去春之約』と題する中国プレミア上映会を行った。主題歌を担当した歌手のジョウ・シェン(周深)も会場に登場し、同作品と同名の中国語版主題歌を披露した」と紹介した。

そして、「新型コロナウイルスが流行した3年間、大規模なオフラインプレミア上映会は少なく、制作者が中国を訪れて映画を宣伝したこともなかった」とし、「『すずめの戸締まり』のこのような方法は、新型コロナウイルス流行以前の生活を引き継いだだけでなく、映画観賞にセレモニーのような感覚を与え、観客の感情に火をつけた」と指摘した。

また、「『スラムダンク』が直面した宣伝の難しさは『すずめの戸締まり』より大きかった」とし、「原作者である井上雄彦氏の訪中もなく、映画版の中ではアニメ版でよく知られていた楽曲もなくなっている。宣伝側は映画を盛り上げるために、観客の大部分が1980年代生まれ、または90年代生まれで、かつ6割以上が男性という特徴に着目し、北京大学の邱徳抜体育館を選び、バスケットボールの試合形式でプレミア上映会を開催した」と述べた。

「すずめの戸締まり」、「スラムダンク」のどちらの作品も、映画館では人型のキャラクターパネルとポスターが設置されていたという。文章は、「観客にとっては記念撮影がしやすい上、ファンが『すずめの戸締まり』のヒロインや『スラムダンク』のキャラクターのコスプレをするのに役立つ」とし、「これらの写真や動画はネット上にアップロードされ、感動と注目をもたらした。そして、映画をじわじわと宣伝することとなったのだ」と指摘した。

文章は、「この春、この2作の映画とそれらを中国に引き入れた上海路画影視伝媒有限会社はまさに“勝利した”と言える」と述べ、「6月1日の端午節(中国の祝日)に再上映される『天空の城ラピュタ』が、中国市場における日本のアニメ映画の地位をさらに強固なものにするだろう」と予測した。(翻訳・編集/柳朱音

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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