亜洲週刊 2023年4月30日(日) 22時10分
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香港誌「亜洲週刊」はこのほど、新宿区議会選挙に出馬して落選した、李小牧(り・こまき)氏の経歴や、立候補を決めた心情や選挙運動の経緯などを紹介する記事を発表した。写真は選挙運動を展開する李氏。
香港誌「亜洲週刊」はこのほど、23日に投開票が行われた新宿区議会選挙に出馬して落選した李小牧(り・こまき)氏の経歴や立候補を決めた心情や選挙運動の経緯などを紹介する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。李氏は中国湖南省出身で、1960年8月生まれの60歳。1988年に留学生として日本に渡り東京新宿区の歌舞伎町でガイド業に従事するようになった。また、ニューズウィーク日本版などのメディアにコラムを寄稿したり単行本を著作するなど、文筆業者としても活動している。2015年には日本国籍を取得。新宿区区議会選挙には15年、19年、23年と3回続けて立候補したが、いずれも落選した。以下は亜洲週刊の毛東京支局長による記事の要約だ。
李小牧氏は、東京の不夜城でありアジア最大の歓楽街でもある歌舞伎町で、さまざまな人々の喜びや悲しみを見守ってきた。02年には「歌舞伎町の案内人」という自叙伝的な書籍を著した。この書籍は亜洲週刊も率先して取り上げ、香港、マカオ、台湾、中国大陸で評判になった。香港の著名な映画監督である爾冬昇(イー・トンシン)はこの書籍に触発されて、李小牧氏をモデルに映画「新宿インシデント」を制作した。主演はジャッキー・チェンだ。
李小牧氏は亜洲週刊の取材に対して、歌舞伎町への愛を強調した。異なる肌の色、異なるレベル、異なる職業の男と女がいて、肩書や化粧をはぎ取った人としての「もう一つの真実」である本姓と本能に触れることができるからだ。李氏は、本能を維持し追求する勇気も人生の一つの美しさと論じ、歌舞伎町をもっと国際的で平等な歓楽街にしていく必要があると説いた。
李小牧氏は合わせて3回、新宿区区議会選挙に立候補したが、いずれも落選した。特に今回の2023年区議会選では大きな困難に直面した。
今回の区議会選の敗因は主に2点がある。まず、近年の日中関係の悪化に伴い、日本国民の対中感情がますます悪化していることだ。日本の一部の主要メディアも、中国の海洋警察船が航続を続け、尖閣諸島に頻繁に進入するなど「中国の脅威」を報道し、台湾海峡有事の危険を強調するなどしている。李小牧氏の選挙戦はまれに見る政治的逆風にさらされた。中国系日本人が日本で政治に参加することは、さらに困難になっている。
もう一つの敗因は、他の立候補者2人が、露骨な「反李小牧」キャンペーンを展開したことだ。一人は、米国当局が中国系住民2人を、自国内で「中国海外警察」に協力した疑いで逮捕したことや、中国共産党は日本で「海外警察」を設置したと、メディアなどを通じても訴えた。同候補は、李小牧氏を、「歌舞伎町に駐在する中国共産党代表である可能性がある」などと中傷し、ネットを通しても、「李小牧は中国共産党のスパイだ」などの情報を拡散した。
もう一人の候補は、「李小牧は赤だ」と決めつけ、街頭で「赤い候補に票を投じてはいけない、外国人に参政権を渡すな」などと強調しつづけた。
李氏は若い中国系住民のボランティアの協力も得て、毎朝6時に起床して、街頭演説に適した場所を確保するなどした。ボランティアとして李氏に協力する若い中国系住民もいた。しかしSNSを利用すると右翼的な「反李小牧」勢力との露骨な対立が避けられなくなってしまう。李氏はそのためSNSの利用を断念した。選挙戦における有効な手段が一つ失われることになった。
選挙の際には、特定の候補や特定の党派に「絶対に投票する人」や「絶対に投票しない人」がいる反面、どの候補に投票するか直前まで決めかねる「中間層」に属する有権者も多い。露骨な「反李小牧」キャンペーンによって李氏が「中間層」からの得票の一部を失ったことは、間違いのないところだ。
李氏によると、今回の選挙戦については当初から、苦戦が避けられないと分かっていた。しかし、歌舞伎町を変えることから始めて、日本の政治の閉鎖性を変え、日本に国際化の雰囲気を広めたいという気持ちに変化はなかった。李氏は、自らは日本の右翼や反中勢力に属する立候補者から悪意に満ちた挑発を受けても屈することなく、孤軍奮闘して最後まで戦い抜いたとして、「敗北したが栄誉だ」と述べた。なお、李小牧氏を露骨に攻撃した候補二人の得票は李氏に及ばず、いずれも落選した。
李小牧氏の状況は、中日関係の「空模様」を知る寒暖計と言える。(翻訳・編集/如月隼人)
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