2023年4月30日、湖南日報は、「杭州と上海を15分で結ぶスーパー高速鉄道は本当にもうすぐやってくるのか」とする文章を掲載した。

記事は、中国のネット上で近ごろ「杭州と上海を15分で結ぶ時速1000キロのスーパー高速鉄道がもうすぐやってくる」などといった議論が起きているとし、注目のきっかけが先日行われた中国国有企業・航天科工集団のイベントで超高速リニア鉄道研究の最新成果が紹介され、このタイミングで一部メディアが専門家の話として「上海―杭州間がスーパー高速鉄道建設の第一候補」と伝えたことにあると指摘。ネット上で情報に尾ひれが付き、多くの人が「もうすぐやってくる」と誤解するに至ったと伝えている。

その上で、同済大学の交通輸送計画専門家が「技術の実現性について模索しているというのは、その技術が間もなく実用化することを意味するものではない。現在の試験線での列車速度は時速1000キロに到達していない上、実験線で成功してもさらにモデル線を作って技術的、経済的、環境的フィジビリティスタディを重ねる必要がある」と指摘したことを紹介した。

さらに、運営上の安全問題の克服は避けて通れない大きな課題であり、正常時の安全性とともに故障や異常が発生した際の応急体制についても実験、試験を重ねて確立しておく必要があるとしたほか、高速鉄道網が急速に整備されてきた中で、スーパー高速鉄道に対する旅客のニーズがどれほどあるのかについても十分考察しなければならないと指摘した。

文章は一方で「たとえ近いうちに実現しないとしても、先進技術の模索で他国に負ける訳にはいかない」とし、実用化計画の有無にかかわらず関連技術の蓄積は重ねておく必要はあるとした。そして、蓄積した技術研究が実を結び、実用化の計画が出るようになれば「時速1000キロを超えるようなスーパー高速鉄道のベンチマークは列車ではなく、飛行機だ。大陸間旅行の新たなモデルさえ誕生することになるかもしれない」という専門家の話を伝えている。（翻訳・編集/川尻）