中国の“神薬”の価格がさらに上昇、上げ幅は過去4年最大で1粒が約1万5000円に

Record China    2023年5月10日(水) 5時0分

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漳州片仔癀薬業は5日夜、片仔癀の小売価格を1粒あたり590元(約1万1500円)から760元(約1万4800円)に引き上げると発表した。2016年以来の4回にわたる値上げ中、今回の上げ幅は最大。

福建省漳州市に本社を置く漳州片仔癀薬業は5日夜、同社の主力商品である片仔癀(ピェンズホアン)の小売価格を、それまでの1粒あたり590元(約1万1500円)から760元(約1万4800円)に引き上げると発表した。片仔癀の値上げは2016年以来4回にわたって実施されており、今回の値上げ幅は最大だった。

片仔癀は明代の嘉靖年間(1522-66年)に、一人の宮廷医が漳州に来て、僧侶から製法を教わったとされる。片仔癀はその後、宮廷の秘薬になったが、1940年代には製法が馨範茶荘という茶葉などを扱う業者に伝わった。さらに56年には、官民合資の企業組織が片仔癀の生産を行うようになった。この企業が現在の漳州片仔癀薬業に発展した。片仔癀の製法は現在、中国に2種類しかない「国家絶密中薬配方(国家絶対機密中国伝統薬配合処方)」の一つに指定されている。

片仔癀の説明書きによると、同薬は清熱解毒(解熱と解毒)、涼血化瘀(血のほてりと滞りを除去)、消腫止痛(腫れひかせ止痛する)などの効能があり、血のほてりを伴うウイルス性肝炎、各種腫瘍、打撲傷や各種炎症に効き目がある。ただし、片仔癀の効果がある症状はこれらよりはるかに広いと考えられ、「神薬」と呼ぶ人もいる。

片仔癀の価格が目立って上昇しはじめたのは2016年で、同年6月にはそれまでの1粒460元が500元に引き上げられた。17年にはさらに530元になり、20年初頭には590元になった。21年ごろには、転売あるいは値上がり待ちの投機目的で片仔癀を購入する人がいると、しばしば報じられた。

5日の値上げ発表直後には、電子商取引(EC)プラットフォームで出品されている片仔癀の価格は多くが1粒当たり600-1000元(約1万1700-1万9500円)で、590元の旧価格での販売の場合、多くは「品切れ」と表示されていた。片仔癀の実勢価格は値上げ発表前に、1粒当たり660元(1万2900円)を上回る状況だった。EC利用の小売業者は、仕入れ価格は毎回違うと説明した。

漳州片仔癀薬業は5日の値上げ発表の際に、主な理由を主たる原料と人件費の上昇によるとした。片仔癀の主たる原料には麝香(じゃこう)、牛黄(ごおう)、蛇胆、三七などで、うち麝香と蛇胆は厳格な国の関連規則に基づいて調達せねばならない。中国では16年時点で、天然麝香の使用権を有する企業はわずか14社になり、漳州片仔癀薬業はその1社だった。西南証券のリポートによると、片仔癀の原料コスト中、天然麝香と牛黄が最も多くを占めており、両者を合わせると原料コストの90%に達するという。

中国伝統薬の情報を扱う康美中薬網によると、天然牛黄の価格は上昇を続けており、現在の市場価格は21年初頭の約2倍の1グラム当たり800元(約1万5600円)/グラムに達した。天然麝香の国家統一購入価格は1グラム当たり400元(約7800円)だ。

華安証券研は、原材料の希少性がコストを引き上げると同時に、漳州片仔癀薬業の生産能力を制限していると紹介した。そのために、出荷価格を引き上げることで原料の上昇やその他のコスト上昇の圧力を緩和し同社の業績をある程度引き上げることができていると分析した。

漳州片仔癀薬業の決算報告によると、22年の売上高は前年比8.38%増の86億9400万元だった、純利益は同1.66%増の24億7200万元で、同社にとって22年は、15年以降で業績の成長が最も緩慢な年だった。(翻訳・編集/如月隼人


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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