「すずめの戸締まり」と行く、日本の癒しの聖地―中国メディア

Record China    2023年5月17日(水) 21時0分

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8日、中国メディアの環球網は、「すずめの戸締まり」の「聖地」を紹介する文章を掲載した。

2023年5月8日、中国メディアの環球網は、「すずめの戸締まり」の「聖地」を紹介する文章を掲載した。(※本記事はネタバレを含みます)

「すずめの戸締まり」は中国でも好評を博し、12日には中国版ツイッター・微博(ウェイボー)の公式アカウントが中国での上映期間の再延長(6月23日まで)を発表した。

文章は「『すずめの戸締まり』のヒットとともに、多くのファンが映画を鑑賞し『記念撮影』をしている」とし、物語について、「舞台は日本の都市と田園。ヒロインの鈴芽は、日本の『3・11東日本大震災』を体験した生存者だ。自分の過ちを償うため、『災害の扉』を閉める旅に出た彼女は故郷に別れを告げた。これは愛、成長、そして解放の旅だ」と紹介。「作中に登場する場面は全て実際の美しい景色を基にしており、映画公開後からファンがモデル地の巡礼を始めた」と伝えた。

文章はまず、「愛と冒険が始まった場所」として、宮崎県の油津港を挙げた。「一部のファンは作中の恋愛にがっかりしていた。男性主人公である草太に対する鈴芽の感情には理由がないと思っていた。しかし、二人の出会いのシーンが完璧だったことは認めざるを得ない。海に面した下り坂、風に舞う髪、澄んだ青空と青い海、海面には太陽の光、草太の襟は風になびいていた。そんな360度の美しい景色を鈴芽の視点で見ると、心を動かさずにはいられない」と述べた。

そして、「日本には多く海に面した山道があり、ネットユーザーが比較、そして鈴芽の母親の方言を検証した結果、モデル地は宮崎県日南市の油津港と特定された」とした上で、「宮崎県は九州に属し熊本県に隣接している。作中の『災害の扉』は2016年の熊本地震に対応したものと思われる。宮崎県は自然が美しく、天孫(天照大御神の孫)降臨の神話から『神話の地』とされている。しかし、その南国風景は沖縄には及ばず、温泉資源もないために隣の大分県が有名になり、これまで人気の旅行先にはなっていなかった。宮崎県は近年、交通の整備や海外市場の開拓に力を入れており、さまざまな角度から観光客を迎えている」と伝えた。

また、「油津港は宮崎県の重要な港、かつ歴史が長いことから、街中には過去の面影が残っている」と言及。「日本と中国の交易、通航の重要な中継地として栄えた」とし、「JR宮崎駅から油津港までは日南線で約1時間半。乗客は車窓から田舎の風景を楽しむことができる。油津港からは小舟で近くの島に行ったり、釣りをしたり、船に乗れば神戸や広島に行くこともできる。映画の中で鈴芽はここで船に乗って北上している」と紹介した。さらに、「油津港は日南海岸にあり、作中で海が見える坂道は猪崎鼻公園あたりだ。観光客はレンタルサイクルで坂を下りて楽しむことができるが、その前に上り坂のつらさも味わうことになる。坂の上から見下ろすと油津港が一望できる」と述べた。

文章は次に、「心癒される活気にあふれた庶民の生活」として、兵庫県神戸市を挙げた。この地について「1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた本州の兵庫県にある神戸。六甲山地を形成する六甲山系と瀬戸内海が、神戸の景観を形作っている。1868年の明治維新後、神戸は日本初の対外通商5港の一つとなり、急速な発展を遂げた」と説明し、「こうした歴史的な背景もあって、神戸は国際的な雰囲気が際立っている」と評した。

その上で、「異国情緒とともにローカル感も色濃い」とし、「鈴芽はここでスナックを営むシングルマザーに出会い、雑用をすることで人の温かさを感じ、助けられることとなった。スナックがある商店街は、神戸三宮駅近くの二宮商店街がモデル。実は、日本の多くの都市に似たような商店街があるが、それぞれの店舗は大きくはない上、一人や二人だけで経営しており、お客さんもご近所さんばかりだ。インフルエンサーが撮影する雰囲気ではないが、人間味にあふれている。残念なことに、経営難などから休業や半休業状態の商店街も多く、二宮商店街もその一つだ」と述べた。

また、「神戸には『1000万ドルの夜景』が存在し、長崎、函館と並ぶ『日本三大夜景』の地でもある。映画の中で鈴芽が『災害の扉』を閉めに行く時に出てくる夜景は、神戸の掬星台から見下ろす景色がモデルと言われている」と紹介。「映画が上映された際には、掬星台に小さな扉が設置された。空気が澄んでいる夜には、扉の枠を通して真珠のようにきらきらと輝く家屋の光が見られる。絶好の記念撮影の地だ」と評した。

続いて文章は、「雰囲気に満ちた聖橋」として、東京都の御茶ノ水エリアを挙げた。「今年2023年は関東大震災から100年を迎える。マグニチュード(M)7.9の地震による犠牲者は約10万人に上り、東京、神奈川、千葉、静岡、山梨などで大きな被害を受けた」とし、「鈴芽が閉める『災害の扉』がある御茶ノ水は、実は関東大震災の火災で大半が焼失したことから、かつて起きた地震と最も関わり深い地と言える」と伝えた。

そして御茶ノ水について、「明治大学や順天堂大学など有名大学が多いと同時に、駅の構造の特殊性のため、日本の鉄道ファンの記念撮影スポットでもある」と紹介。「御茶ノ水駅は多くの路線が交わる場所であると同時に、お茶の水橋と聖橋が上下に交わっており、電車が走る時はまるでアニメのワンシーンのようだ。橋を形作るアーチ状の穴をじっと見つめていると、深い闇が潜んでいるような気がする」と評した。

文章は、「新海誠監督のこの作品は実際に起きた地震を背景にしているので、日本の観客はひときわ共感することができる」とし、「東京のようなにぎやかな現代都市でも、自然災害の前にはなすすべがないだろう。防災も欠かせないが、強い心を持ってこそ困難に打ち勝つことができる」と述べた。そして最後に「聖地巡礼は、映画ファンが作品の主旨をもう一度振り返り、生活の中の素晴らしさと希望を見つける助けとなっている」と総括した。(翻訳・編集/柳朱音

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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