Record China 2023年5月29日(月) 9時30分
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中国南部の水を北部に送るプロジェクト「南水北調」の東ルートと中央ルート第1期プロジェクトで送水量が620億立方メートルを超えた。写真は南水北調中線プロジェクトの水源地である丹江口ダム。
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中国南部の水を北部に送るプロジェクト「南水北調」を運営する中国南水北調集団はこのほど、東ルートと中央ルート第1期プロジェクトの北部への送水量が620億立方メートルを超えたと発表した。国営メディアが伝えた。生態系への補給量は100億立方メートルに迫り、経済、社会、環境などに大きなメリットをもたらした。
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「南水北調」は中国南方の長江の水を北方地域に送り、北京周辺や陝西省などの慢性的な水不足を解消するプロジェクト。中華人民共和国建国後間もない1952年、当時の毛沢東主席が河南省を視察した際に「黄河の水不足」の報告を聞き、「南方に水が多く、北方に水が少ない。可能なら少し借りたい」と発言したことをきっかけに、中国政府が調査研究を始めた。発言から50年後の2002年にようやく着工した。
投資総額は5000億元(約10兆円)。長江の上、中、下流の3か所からそれぞれ取水し、3本の導水ルートで黄河の水量に相当する年平均450億立方メートルの送水を目指している。プロジェクトの規模、難度は三峡ダム工事を超え、中国メディアは「人類史上もっとも巨大な工事の一つ」と表現した。14年12月に中央線の1期工事1432キロが完成し、通水された。計画では工事全体の完成は50年以降になる。
国営新華社通信によると、通水後、年間送水量は増加の一途をたどり、沿線の42大・中都市、280以上の県・市・区が恩恵を受け、直接的な受益者は1億5千万人を超えた。現時点で「南水北調」プロジェクトで送られる量は北京主要市街地への水供給量の75%、天津主要市街地への水供給量の99%を占める。
「南水北調」の後続プロジェクトのうち、最初に着工した「引江補漢(長江の水を漢江に送る)」プロジェクトも順調に進展し、下半期(7~12月)には全面的な施工段階に入る見通し。「南水北調」のうち、東ルートを運営する南水北調集団東線は、東ルート第1期プロジェクトの効率向上と第2期プロジェクトの企画・建設など重要な問題を詳しく研究する。
中央ルート運営会社の南水北調集団中線は送水能力の向上に焦点を当てるとともに、法規に沿って沿線での送水・貯水プロジェクトの事前準備を積極的に進めた。西ルートについては、関係するテーマの研究や複数のプランの比較・選定・論証などに南水北調集団が深く関わっており、同ルートをめぐる研究基盤を固めた
「南水北調」をめぐっては懸念材料も少なくない。巨額の工事費がかかることのほか、供水量が少なかった場合の経済効果や長江における船の航行への影響、100万人単位の住民の移動問題、さらに生態系への影響などが指摘されている。(編集/日向)
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