中国の若者に流行する超弾丸節約トラベル「特殊兵式旅行」、個人消費の基調的な弱さ物語る

Record China    2023年5月28日(日) 22時40分

拡大

中国の若者の間で「特殊兵式旅行」と呼ばれる超弾丸節約旅行が流行している。中国の個人消費の基調的な弱さを物語る新たな現象の一つで、回復してきた旅行産業に影を落としつつある。

中国の若者の間で「特殊兵式旅行」と呼ばれる超弾丸節約旅行が流行している、とロイター通信が報じた。中国の個人消費の基調的な弱さを物語る新たな現象の一つで、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の落ち着きとともにようやく回復してきた中国の旅行産業に影を落としつつある。

ロイター通信によると、中国の労働節(メーデー)の大型連休に北部地方を旅行しようと決めた大学院生のカイ・チーシャンさん(22)は、米ニューヨークからロサンゼルスまでの距離に匹敵する4000キロ余りを移動するため、レンタカーを借りられるお金があれば助かるのに、と思っていた。

実際にカイさんが選んだ方法は「特殊兵式旅行」だ。彼女が利用した交通手段の大半は鈍行列車とバス。これで大学院がある浙江省杭州市を出発し、山西省一帯を周遊して帰ってきた。訪れたかった古いお寺や仏塔、石窟を巡るために1日約3万歩は歩き、泊まる場所は夜行列車と安宿を利用したおかげで、9日間に使ったお金はたった2500元(約5万円)だけ。「私はそんなにお金を持っていないが、旅行はしたい。出費を抑えて最低限の資金で多くの場所に行ける。でも本当に疲れる」と本音をのぞかせた。

中国のソーシャルメディアでは、できるだけお金をかけずに積極的に観光地を見て回るやり方に、軍の特殊部隊による厳しい訓練になぞらえて「特殊兵式旅行」というハッシュタグを付ける例が労働節の連休前から連休中、至る所で目にされた。カイさんもネット上のやり取りで刺激を受け、実際の旅行者たちの節約ぶりに驚いた1人だ。

折しも中国では3年間にわたり、新型コロナの感染拡大を徹底的に封じる「ゼロコロナ」政策の下で多くの人がほぼ家に閉じ込められた生活を強いられていただけに、今年は国内旅行ブームが起きている。ほとんどの中国人にとって4月28日から5月3日まで続いた労働節連休の旅行件数は2億7400万件と、パンデミック前の2019年を19%上回った。

ところが旅行中の支出総額は1480億元(約2兆9600億円)で19年と変わらず、平均支出額は19年の603元より少ない540元にとどまった。中国の政策担当者が経済成長においてより大きな役割を果たしてほしいと考えている個人消費は、確かにゼロコロナ政策解除後に持ち直してきたが、回復ペースはずっと期待を下回り続けている。

ナティクシス・リサーチのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は「中国人全体では以前ほどお金を使う態勢になっていない。政府が過剰な貯蓄を減らして消費を促そうと努力しても、うまくいくかどうかは疑わしい。人々がまた大金を支出し始めるには雇用の確保と賃金上昇が不可欠になる」と指摘した。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

noteに華流エンタメ情報を配信中!今回はワン・ホーディー特集!その魅力に迫ります。詳しくはこちら

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携