交通機関が機能不全で苦難の旅、空襲にも遭遇―ウクライナ問題で関係国歴訪した中国外交官

Record China    2023年6月5日(月) 7時10分

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5月15日から26日まで、ウクライナ問題を話し合うために関係国を歴訪した李輝特使によると、交通機関の機能不全で移動は極めて困難だった。ウクライナ領内では空襲にも遭遇したという。

中国外交部は北京市で2日、ウクライナ問題を話し合うためにウクライナやロシア、EU本部などを歴訪した李輝特使の現地での活動状況を紹介する記者会見を行った。李特使によると現地の交通機関が機能不全に陥っていることで、以前ならば考えられないほど移動に苦労した。そのことで、事態が現地の経済や社会に及ぼしている深刻な影響を実感した。李特使は空襲にも遭遇したという。

李特使は5月15日から26日までの12日間、ウクライナ、ポーランド、フランス、ドイツ、EU本部、ロシアを訪問した。李特使によると、かつて欧州を訪問した時と比べて、移動が極めて不便だったことに最も強い印象を受けた。まず北京からウクライナまでの航空機の直行便がなかった。ウクライナ上空は飛行禁止で、同国を出発地や到着地とする移動の場合にはいずれも、航空便を利用することができなかったという。

李特使はまず北京からアラブ首長国連邦のドバイに飛び、ドバイからポーランドの首都ワルシャワに向かった。ワルシャワからウクライナ首都のキーウまでの直通列車の乗車券は入手できず、バスを利用して深夜0時にポーランドからウクライナ入りをする国境に到着し、そこからキーウに向かう列車に乗った。列車移動に14時間近くかった。帰りはキエフからワルシャワまでの直通列車のチケットを入手し、18時間近く乗車した。列車は、15分から20分に一度は停車するような状況だった。

李特使はその後、ベルギーのブリュッセルにあるEU本部を訪問し、さらにロシアに向かった。本来ならば航空機で3時間程度の旅のはずだが、ロシアへの交通が遮断されているために、トルコのイスタンブール経由の迂回路をたどるしかなかった。そのために、往復で十数時間を要した。

李特使がウクライナ領内にいたのは3日間で、空襲警報のサイレンが毎日鳴り、実際の大規模空襲にも2回遭遇したという。

記者会見の場で李氏は、交通が非常に不便だったことが、ウクライナ危機が各国の経済や社会生活に与える影響を最も直感的に反映したものだと思ったと述べた。さらに、ウクライナやロシア、ヨーロッパ諸国の間にはかつて、非常に密接な経済的、文化的、社会的接触があったが、その多くが人為的に遮断されていると指摘し、利益が最も深刻に損なわれているのは、ほかならぬウクライナ、ロシア、ヨーロッパ諸国だと述べた。

李氏は、「今回の訪問で、すべての当事者がウクライナ危機の政治的解決を支持していることも感じた」と説明。ロシア側も、「ロシアが和平交渉に反対したことはなく、常に政治的解決を支持している」と述べ、ウクライナ側も「平和を愛し、平和を渇望している」と表明したという。

李氏は、戦場に武器を送ることは「この緊張のスパイラルのリスクを押し上げ続けるだけ」とする中国の考え方を説明し、「危機が長引けば長引くほど、ウクライナ、ロシア、ヨーロッパが負担しなければならない犠牲とコストは大きくなる」として、「一刻も早く危機を脱することがすべての当事者の利益であり、そのための説得と和平交渉の推進が原点だ」とする中国の立場を改めて強調した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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