米国のブリンケン国務長官が18，19日に中国を訪問する。米中両国が発表した。ブリンケン長官は2月に訪中の予定だったが、中国の気球が米本土に飛来して中止となった。今回の訪問実現は台湾情勢などで米中の緊張が高まる中、対話のパイプを確保しておきたい双方の思惑が一致したためとみられる。

ブリンケン氏の訪中は初めてで、国務長官の訪中は2018年10月にトランプ前政権のポンペオ氏が訪れて以来、約5年ぶり。ブリンケン長官は中国外交担当トップの王毅共産党政治局員や秦剛国務委員兼外相と会談する見通し。米メディアは習近平国家主席との会談も調整中と伝えている。

米中関係は昨年8月のペロシ米下院議長（当時）の台湾訪問や、2月の気球問題で一段と悪化した。ただ、5月に入ってサリバン米大統領補佐官（国家安全保障問題担当）と王氏がウィーンで会談するなど歩み寄りの機運も高まっていた。

ロイター通信によると、クリテンブリンク国務次官補（東アジア・太平洋担当）は記者団に対し、ブリンケン長官が「率直で直接的、建設的な議論を行うことを第一の目的としている」としつつも、「何らかの突破口を開く、もしくは何らかの変革をもたらすことは意図していない」と言及。「現実的かつ自信の持てるアプローチと可能な限り責任ある方法で米中の競争を管理したいという真摯（しんし）な願いとともに中国を訪問する」と語った。

一方で米政府が6月初旬に要請した国防相会談が中国側の拒否で実現しないなど、国防当局間の意思疎通は困難なままとなっている。米国家安全保障会議（NSC）のキャンベル・インド太平洋調整官は「国防当局間のコミュニケーションは衝突回避に必要不可欠だ。ブリンケン氏は成熟した強力な軍を持つ国同士に対話は必要で、避けるのは危険過ぎると中国側に強く主張するだろう」と説明。「ブリンケン長官がこうしたコミュニケーションラインの必要性を強く提唱すると確信している」とも述べた。

ブリンケン氏に対し、中国側は台湾など中国の核心的問題を尊重すべきと改めて主張する構えだ。国営新華社通信によると、秦剛外相は14日にブリンケン氏と電話会談した際、「米国は中国の内政への干渉をやめ、競争を名目に中国の主権と安全、発展利益を害するのをやめるべきだ」と強調。互いに歩み寄り、意見の相違を効果的に管理し、交流と協力を促進し、両国関係の冷え込み打開と安定化、健全で安定した発展軌道への回帰を推進するよう求めた。（編集/日向）