中国の金融業界で「倹約令」、格差拡大に神経とがらす政府の意向反映―海外メディア

Record China    2023年6月25日(日) 7時0分

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中国の金融機関が職員の給与やボーナスをカットしたり、ぜいたくを注意したりする「倹約令」を打ち出している。格差拡大に神経をとがらす政府の意向を反映した動きだ。

中国の金融機関が職員の給与やボーナスをカットしたり、職場で高価な服や腕時計を着用するのを禁じたり、旅行や娯楽の支出を控えるよう職員に指導するなど、ぜいたくを注意する「倹約令」を打ち出している、とロイター通信が報じた。格差拡大に神経をとがらす政府の意向を反映した動きだ。

ロイター通信によると、中国では景気減速に伴い、若年層の失業率が過去最悪を記録。一方で金融機関の専門職は給与水準が高く、裕福で派手な生活スタイルがしばしばソーシャルメディアで批判され、当局の怒りも買っている。

汚職撲滅を目指す当局は今年に入り、西側流の「金融エリート」観を排除し、「高級志向」を過度に追求するような快楽主義を是正すると宣言した。

これを機に国有から民間まで多くの金融機関が当局から目を付けられないよう先手を打ち始めた。もっとも、習近平国家主席が唱える格差是正のスローガン「共同富裕」が当局の口から語られることは少なくなっている。

ある大手国有ミューチュアルファンドと中堅銀行は職員に対し、優雅に見えかねない日常の様子をひけらかさないよう指導した。このミューチュアルファンドは職員に対し、高価な食事や服、バッグの写真をソーシャルメディアに投稿することも控えるよう求めた。中堅行の職員は職場で高級ブランドの服を着たりバッグを持ったりしないよう通告され、出張時に五つ星ホテルに止まることも禁じられた。

関係者によると、ある国有保険会社の上級幹部らも職場で高価な服を着ないよう促された。 中国工商銀行(ICBC)と中国建設銀行(CCB)は今年から、本社で職員の手当てを一部カットする計画だ。

金融機関のこうした動きには中国共産党の思想に反することを避ける狙いもあると業界関係者らは指摘する。 金融システムにおける党の思想的、政治的役割を強化するため、政府は大幅な組織再編の一環として新たな金融監督機関の設置を進めている。

英キングズ・カレッジで中国と東アジアのビジネスについて教えるシン・サン氏は「経済成長の勢いが弱く、政府全体の予算が以前ほどのスピードで伸びていない現在、体制内で資源と恩恵をどう分配するかが共産党の政治的優先課題となっており、現在の緊縮ムードの最も重要な原動力でもある」と解説した。

サン氏は「中国の格差は随分前から高水準に達している」とし、「『金融エリート』の恩恵を削ることには、体制内の不公平を減らして政治的安定を保つ狙いがある」とも述べた。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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