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若者の求職難が続く中国で新たな社会現象として「専業子ども」が登場した。企業などへの就職をあきらめ、実家に「勤務」して家族から一定の収入を得る生活を指している。
若者の求職難が続く中国で新たな社会現象として、「全職児女」という存在が注目を集めている、と中国紙が報じた。中国語の「全職児女」を文字通り訳すと、「専業主婦」ならぬ「専業子ども」に当たる。企業などへの就職をあきらめ、実家に「勤務」して家族から一定の収入を得る生活を指している。
国家統計局の発表によれば、今年5月の都市部における失業率は5.2%と4月の水準と変わらなかったが、16歳から24歳までの若者だけの失業率を見れば、前月の20.4%から20.8%とさらに悪化した。統計のある2018年以降で最悪の水準で、新型コロナの影響や国際環境の変化による中国経済全体の低調ぶりが背景にあるとみられる。
高学歴者の就業難も無視できない。大学などの高等教育機関の卒業者は22年に初めて1000万人を超えて1076万人となり、23年はさらに増え史上最多の1158万人になる。一人っ子に教育が集中したことなどの結果だが、高学歴者の労働市場での相対的価値が下がり、供給が需要を超えるという事態が続いている。
こうした中で東方新報が紹介したのは68歳の張さん夫婦のケース。夫婦には今年40歳になる息子がいる。張さんは6年前に重い病気にかかってしまい、当時上海市で会社勤めをしていた息子が断続的に休暇を取りながら2カ月近く世話をしてくれた。
張さんの回復後、通常勤務に戻った息子だったが、ほどなくして会社を辞めてしまった。張さんは仕事のストレスと上海の高い生活費に苦しむ息子の姿を見ていたため、息子のしたいようにさせた。最初のころは仕事探しをしていた息子だったが、結局は「専業子ども」になることを選んだという。
息子は毎朝、両親である張さん夫婦の朝食を用意し、その後は家の掃除、昼食と夕食も作る。夜になれば、両親の犬の散歩に付き添う。それらの「仕事」以外は自由時間となり、息子は株の売買や本を読んで過ごしている。
張さん夫婦は、2人の年金を合わせた月1万1000元(約21万9126円)前後の収入の中から、息子に毎月5500元(約10万9563円)の手当を払う。張さん夫婦と同居している息子の出費は少なく、その手当の中から社会保険料を払っても、いくばくかのお金が手元に残る。息子は「以前は月2万元(約39万8412円)の収入を得ても生活費で使い切ってしまったのに、今では逆にお金が貯まっている」と話しているそうだ。
「専業子ども」について、東方新報は「他人からどう評価されようが、本人や家族が満足しているならそれはそれで良いわけだが、忘れてはいけないのは『専業子ども』の増加にさまざまな社会環境が影響しているとみられる点だ」と報道。「中国社会は急速に高齢化が進んでおり、他人の世話を必要とする高齢者が多くいる現実がある。21年には64歳以上が人口の14%、22年には14.9%を占めるに至った」と指摘した。(編集/日向)
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