ファーウェイがAIで大きな前進、“常識外”の成果出した盤古の新モデルも発表

Record China    2023年7月11日(火) 10時0分

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ファーウェイクラウドの張平安CEOは7日、AIのパングーモデル3.0とアセンドAIクラウドサービスを発表した。ファーウェイはAI分野で実績を重ねており、その成果は「ネイチャー」にも掲載された。

華為技術(ファーウェイ)の常務役員を務めるファーウェイクラウドの張平安最高経営責任者(CEO)は7日、広東省東莞市で行われた同社の開発者会議の基調講演で、人工知能(AI)の盤古(パングー)モデル3.0と昇騰(Ascend、アセンド)AIクラウドサービスを発表した。ファーウェイにとってこれらのイノベーションの目的は、産業界の顧客やパートナーの力を増強し、AIの可能性を解き放って様々な分野に変革と成長を実現することという。

AIの盤古気象モデルが従来の常識を打破する実績

盤古モデル3.0は事前訓練済みのシステムで、多くの産業の固有のシナリオのニーズを満たし、複雑な課題の処理に即座に適応させられる。盤古モデル3.0は大規模なデータセットや機械学習アルゴリズムを活用して天気予報、医薬品開発、列車の故障識別、鉱山産業など多様な領域でAIの産業応用に革命を起こすことを意図している。

張CEOは「ファーウェイクラウドの盤古モデルは、情報処理による支援を通じてあらゆる産業に携わる人に力を与え、生産性と効率を向上させます。ファーウェイは、『産業のためのAI』という使命を掲げて、盤古モデルによってあらゆる産業をAIによって再構築していきます」と述べた。

張平安氏

7月5日には権威ある国際的科学誌の「ネイチャー」に、ファーウェイの盤古気象モデルによる、43年分のデータに対するディープラーニングに基づく、極めて高精度かつ正確な全地球AI天気予報システムを紹介する論文が掲載された。

盤古気象モデルは、「AIによる天気予報の正確さは従来型の数値予報に及ばない」という“常識”を打破する画期的な成果を樹立した。

従来型の数値予報は正確さで大きく向上し、大災害への警告や気象変動の予報という実績を重ねてきたが、時間がかかるという問題があった。一方のAIによる予報には、正確性が数値予報に及ばないという問題があった。

AI気象予報の正確性については、従来型のモデルでは2Dニューラルネットワークをベースにしているため、不均一な3D気象データをうまく処理できないという問題があった。さらに、中期天気予報ではモデルが何度も呼び出されると、予報の誤差が累積される問題があった。

盤古気象モデルは3D地球固有変換器(3DEST)アーキテクチャーを用いて、複雑で不均一な3D気象データを処理する。またモデルの訓練では、階層的、時間的、集約的戦略を用いて、1時間、3時間、6時間、24時間のさまざまな予報間隔で行う。その結果、特定の時刻の気象状態を予測する反復回数を最小化することで、予報誤差を減らすことに成功したという。

使いやすさで業界のAI推進を後押しする効果も

盤古気象モデルについては1時間から7日間の予報について、従来の数値予報の手法よりも精度がより高く、しかも予報速度が1万倍以上も向上することが実証された。同モデルは湿度、風速、気温、海面圧力などの非常に細かい気象関連の数値を、数秒間で正確に予測できる。

論文の「ネイチャー」への掲載の可否を決める同誌査読者の一人は盤古気象モデルについて、ダウンロードと実行が非常に簡単であり、デスクトップコンピュータでもすぐに使えることも評価した。いずれの気象関係者も存分にテストして検討できることは、該当分野の進歩に大きく貢献するという。別の査読者は、「過去の結果を大きく上回る成果です。この研究によって、予報モデルの将来像を人々が再評価することになると考えます」と述べた。

中国気象局によれば、盤古気象モデルは、5月に発生した世界でも年初来最大級だった熱帯低気圧の台風2号(マーワー)が台湾東部近海で進路を変更する5日前に、その進路を正確に予測したという。


鉱山でも鉄道でもAIによって大きな変革が実現

盤古の産業への応用については、ファーウェイと山東能源集団(山東エネルギーグループ)が7月18日に共同で、山東省済南市内の炭鉱に盤古鉱山モデル第1号を投入する。同件は、盤古鉱山モデルにとって初の商用利用でもある。このことで、鉱山事業の安全性や効率性、生産性が向上する。盤古採鉱モデルは、自己学習が可能であり、石炭採掘作業関連で1000を超えるサブシナリオを網羅している。

盤古採鉱モデルが鉱山事業に貢献する事例としては、例えば石炭採掘での輸送システムの故障への対応がある。炭鉱にとって輸送システムの故障は、出炭量の減少と経済損失に直結する深刻な事態だ。盤古採鉱モデルはAIベースのインテリジェント監視システムによって、輸送システムの例外的事態を最大で98%の確率で識別する。盤古採鉱モデルによって、精製炭回収率が0.1%向上すると見込まれている。年産量100万トンの粘結炭炭鉱の場合、精製炭生産量が0.1%向上すれば、年間で100万ドル(約1兆4000万円)を超える利益が追加されるという。

その他にも、鉄道業界では盤古鉄道モデルを実装することで、貨物列車の安全と効率が大幅に向上する。従来の方法では人に頼っていた故障識別処理をAIによって行い、重大な故障の検出率は99.99%超で、一般的な故障では98%を超える識別が可能という。

ファーウェイは、これらのケースについて、「産業に変革をもたらすAIのパワーを証明する良い例」と考えており、企業が同社の盤古モデル3.0と昇騰AIクラウドサービスを利用することで、それぞれの産業での実質的成長と競争での優位性を促進させることが可能になると説明している。(構成/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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