Record China 2023年7月17日(月) 20時20分
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日本が誇る新幹線だが、「海外輸出」は進まないのが現状だ。中国社会院日本所総合戦略室の盧昊主任は「三つの問題点」を指摘した。ただし「中国は日本をリード」と有頂天になるべきではないと釘を刺した。
日本が誇る新幹線だが、その「海外輸出」はなかなか進まないのが現状だ。相手国との合意に達した場合にも、さまざまな理由で遅延が生じている。中国社会院日本所総合戦略室の盧昊主任はこのほど、中国メディアの環球時報の取材に応じて「三つの問題点」を指摘した。ただし、中国人も「高速鉄道の輸出で、中国は日本をリードしている」と有頂天になってはならないと釘を刺した。
盧主任はまず、日本が高速鉄道の「老舗」であることは事実だが、中国などの新興勢力と比べて、日本の高速鉄道設備の性能の強みは、それほど際立たなくなったと指摘。また、日本が提示するプロジェクト本体と付属施設は高価で、開業後の維持費も多額であるため、日本の新幹線の競争力は徐々に低下しているとの見方を示した。
盧主任は次に、鉄道などのインフラプロジェクトは、初期投資額が巨大で、リターンを得るために時間がかかると説明。高速鉄道建設を担う日本の民間企業は「帳尻を合わせる」ことをますます重視するようになり、日本政府が強力に推進しても、リスクの制御が困難であれば、投資の主力である企業は積極性を示さないと指摘した。盧主任は例として、タイのバンコク-チェンマイ高速鉄道事業の着工が遅れていることを挙げた。
日本は同高速鉄道全線の建設のために、タイ政府は約4200億バーツ(約1兆7000億円)の投資が必要と見積もったという。日本側は共同出資を拒否し、同プロジェクトへの低金利融資のみを主張した。タイのプラユット前首相は、予算を節約するために列車の最高速度を時速180-200キロに引き下げることを提案し、タイの財務相も日本に対してより低額の案を出すよう求めたが、日本側は拒否した。
第3点は、高速鉄道の建設は現地の国情や政策の影響を強く受けることだ。盧主任は「日本や欧米などの先進国に対する鉄道プロジェクト協力は、車両や技術の提供が中心となることが多い。タイやインド、ベトナムといった東南アジアや南アジアの国との鉄道協力は、建設全体を請け負うので、プロジェクトがより大きく、期間が長くなる」と指摘した。そのために、建設の過程で何らかの問題が生じることは避けがたいという。また、発展途上国の場合には国情が複雑で、政治的安定性や経済財政のゆとりなどが欠けている。日本のこれらの国へのインフラ投資は、土地収用の遅れ、資金チェーンの断裂、現地政府の非効率など、多くの外部要因の影響を免れず、プロジェクトがさらに長期化するという。
ただし、上記の「三大問題点」にも変化が見られる。盧主任は「日本は中国が推進するインドネシアのジャカルタ・バンドン高速鉄道プロジェクトを、複雑な心境で注目してきた」と説明した。中国が日本の国際的影響力に「重大な衝撃」を与えていると見なしたからという。盧主任は、日本ではその結果として、損をしてでも海外での鉄道建設を推進しようとの考えが強まったと説明した。
盧主任は、日本の変化を示す例として、インドの高速鉄道に入札する際に、設備や技術、融資に関連して極めて優遇的な条件を提示したことを挙げた。盧主任によると、日本が気にしたのは計画が持続可能な運営の法則に沿っているかどうかという経済の法則よりも、プロジェクトがインドだけでなく広範な新興市場国に対する日本の戦略的影響力を強化できるかどうかだったという。
中国ではインドネシアでの高速鉄道プロジェクトに関連する話題が、しばしば報じられる。自国の技術力や協力方式を称賛するような論調も珍しくない。しかし盧主任は高速鉄道の輸出について「中国が日本をリードしていると言うのはまだ早い。中国のインフラの海外での運営モデルはまだ模索を続ける必要がある」と釘を刺した。
なぜならば、高速鉄道の輸出では、日本と中国が競っているだけでなく、フランスやドイツなどの欧州先進国も一定の競争力を持つことを考慮せねばならないからだ。また、世界全体の経済情勢はまだ良好ではないので、今後も各国のインフラ市場の推移を見守る必要があるからだ。盧主任は「日本も中国も、新たな国際経済環境に適応することを学び、相手国の現実のニーズに合致してこそ、海外のインフラ市場での勝者になれる」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人)
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