上海の崇明島から日本の広島へ、1100キロをつないだ「電波の懸け橋」―中国メディア

人民網日本語版    2023年8月2日(水) 17時30分

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上海のFMラジオの番組に1カ月前、1100キロ離れた日本から一通の手紙が届き、スタッフを驚かせた。

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上海市の崇明区放送局が放送するFMラジオの朝番組「生活直通車」は、放送開始から間もなく5年を迎える。番組には毎日リスナーからメッセージやメールが届くが、およそ1カ月前、1100キロ離れた日本から一通の手紙が届き、スタッフを驚かせた。上海テレビ「中日新視界」が伝えた。

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差出人は広島県東広島市に住むアマチュア無線愛好者の桧山良直さん(61)。手紙には、「5月30日午前9時ごろ、家のアンテナが偶然、上海・崇明の『生活直通車』という番組を拾いました。長さは約15分でした。記念として、私が作った『聴取証明書』に放送局の公印を押していただければうれしいです」と書かれていた。


崇明区放送局の番組は、FM88.7ヘルツとFM102.5ヘルツで、高さ120メートルのラジオタワーから発信され、通常、崇明三島や浦東、江蘇省南部など半径約100キロの範囲しかカバーできない。では、1100キロも離れた広島市の桧山さんが電波を拾えたのは一体なぜなのだろう?放送局のエンジニアによると、当時、ほぼ夏にしか起こらない電離層の反射で、電波が反対側の海の方向に飛び、桧山さんが偶然にも受信機を102.5ヘルツに合わせ、この不思議な「縁」が結ばれたのだという。


上海の放送を聞いたことの証拠として、桧山さんは録音した「生活直通車」の音声を記録したCDを手紙に同封していた。また、厚紙で作られたCDのカバーには、天気予報、ニュース、音楽など、番組の内容が書かれていた。


手紙や聴取証明書を中国語で書くというのは、桧山さんにとって簡単なことではない。桧山さんは最初ネット上の翻訳ソフトで訳してみたものの、きちんとした中国語で書かなければ中国の人たちに失礼だと思い、わざわざ本屋に行き、「中国語入門」や「中国語・手紙の書き方辞典」など5冊の本を買って、2日間かけて何度も書き直したという。そして、日本の銀行で両替した10元(約200円)を同封し、「返信の郵便代として使ってほしい」とのメッセージを添えた。


桧山さんの熱心な思いに、「生活直通車」の番組スタッフは感動し、返信することにした。スタッフは返信を日本語で書き、放送局の公印を押した「聴取証明書」のほか、崇明島の歴史と文化が伝わるようにと地元の記念グッズを選んで同封した。


その他、上海放送局の番組「中日新視界」のスタッフも桧山さんにメールを送った。すると、驚くことに、桧山さんから返事が届いた。そこには、ぜひ上海メディアの大きな反響に面と向かって感謝を示したいと、動画が添付されていた。


桧山さんは動画の中で、「こちらは、日本広島県東広島市。私は、ラジオを聞くのが好きな桧山といいます。この度、上海の崇明ラジオという放送局の電波を偶然こちらで受信し、そのことを手紙に書いて送ったところ、たいへんな反響があったようで、昨日、たくさんの記念品が届きました。崇明ラジオを聞いたのは、本当に数分間だけだったんですが、たいへんな反響があって、びっくりしています」と語っている。

桧山さんがその時に使用した受信機のシステム

「無線捜しは不確定さが最大の魅力ですが、発信した人は心のどこかで返事を待っているはず」というのが、アマチュア無線愛好者の共通の思いとなっている。夏に起こる電離層のおかげで、上海の崇明島と日本の広島の間に、虹のように消えてしまう束の間の「電波の橋」が架けられた。そして、中国・上海の番組スタッフと広島の桧山さんが積極的に交流する「民間交流劇」は見る人を温かい気持ちにさせてくれる。これこそが、「山川域を異にすれども、風月天を同じうす」という言葉の真意なのかもしれない。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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