「小門店（小規模店舗）」と「個体戸（個人事業者）」は、どちらも中国経済にとってのキーワードだ。街角に密集する小さな店舗がにぎわいを見せれば、街全体が活気づく。中国紙は「ポストコロナの経済回復を底辺からけん引する重要ファクターとして、政府も大きな期待をかけている」と報じた。 　

AFP通信が紹介した東方新報の記事によると、中国国家市場監督管理総局が7月中旬に発表したデータで、2023年上半期に全国で新しく登記された個人事業者は1136万5000戸となり、昨年同期比11．3％増加した。6月末時点で全国の登記済み個人事業主は1億1900万戸で、全経営主体の67．4％を占めている。

個人事業者を産業別に見ると、一次産業5．1％、二次産業5．9％、三次産業89％となり、大半が三次産業に属している。これらの昨年同期と比べた伸び率はそれぞれ12．8％、5．1％、11．5％で、どの分野も大きな伸びを見せた。

業種別では「新型サービス業分野」の伸びが加速し、情報伝達、ソフトウエア、情報技術サービス、文化、体育、娯楽、科学研究、技術サービスの伸びが目立つという。

地域別に見ると、個人事業者のうち42．8％が東部地域に分布し、中でも江蘇省と広東省が最も多く、いずれも全国の8％以上を占める。江蘇省は全国で初めて個人事業者数が1000万戸を超えた省となった。

旺盛な伸びを見せる「小門店」「個人事業者」だが、まだ安泰とは言えない。市場監督管理総局が6月下旬に行ったアンケート調査では、調査対象者が正常な営業を行えた比率は年初の77％から90％まで上昇し、経営損失は59％から43％まで減少した。

しかし、4月以降は一部の経済指標が予想を下回り、弱含みに推移している。このため経済回復と経済構造転換による経済の質的向上に抑制圧力がかかっているとの指摘もある。

規模が小さい「個人事業者」は経営リスクへの抵抗力が弱く、市場における競争力も弱い。今後の発展にはまだ多くの困難が伴う。市場監督管理総局は「さまざまな政策措置を講じ、措置の理解度と正確性をさらに高め、個人事業者への支援をいっそう強化しなければならないと考えている」と強調した。（編集/日向）