中国新聞社 2023年8月14日(月) 20時30分
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中国人は世界の古代4大文明として、ただひとつ断絶しなかった自国の文明に誇りを持っている。大規模なイベントでも、常に自国文明の要素を強調する。写真は7月28日夜に開催された成都ユニバの開会式。
世界の4大古代文明と言えば、西からエジプト文明、現在のイラクを中心に栄えたメソポタミア文明、インド・パキスタンで栄えたインダス文明、そして中国の黄河文明だ。中国ではその他の古代文明も存在し、互いに密接なつながりを持っていたとしてより広く「中華文明」などと言われることも多い。4大古代文明の中で中華文明が特異なのは、統治システムなども含めて大きく変化しつつも現在まで断絶することなく継続していることだ。そのような中華文明の特徴とは何なのだろう。中国社会科学院中国史研究院の李国強副院長はこのたび、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、中華文明の特徴について説明した。以下は李副院長の言葉を整理して再構成したものだ。
世界では、多くの優れた文明がさまざまな原因で途絶えたり消えたりした。中華文明は発生時期が最も古い文明ではないが、世界で唯一の途切れたことのない文明だ。
中華文明では、農耕文明、遊牧文明、海洋文明が相互に浸透して内容を大いに豊かにする状況が発生した。ただし、その発展過程は順風満帆ではなく、多くの激動の時期も経験した。政治的に分裂した時期もあった。しかし文明の命脈が断たれたことはない。
中華文明の発展過程を見ると、人や物資が集結しやすい地理環境、広大な領域、多くの人口が常に、中華文明が継続する基礎条件を構成した。さらに、漢字は甲骨文から篆書、楷書に至るまで、基本的な特徴が一貫してきた。古い文献でも内容の理解が比較的容易であることなどで、漢字の定着は中華文明を継続させる重要な要因になった。さらに中華文明では古くから文化人が重視され、豊かで多層的な教化体系や、文化を安定して継続させるメカニズムが形成された。
中国にはまた、独特の歴史学の伝統がある。過去の出来事を記録して残すという習慣も、中華民族が自らの特徴に合った道に沿って絶えず前進することを促した。中華民族は要するに、革新の中で発展する方式を確立した。このことこそ、中華文明が連続性を保ってきた鍵だ。
世界の他の文明を見てみよう。例えば、古代エジプト文明やメソポタミア文明だ。どちらも長期にわたってそれぞれの文明形成初期の社会構造と文化特性を維持したが、それほど大きな変化はなく、最終的には硬直化して没落していった。両文明ともは他の文明に対してより排斥的な態度を示した。その結果、困難に直面した際に外来文明を積極的に取り入れて自らが復興する機会を失ってしまった。
中華文明は外来文明を大いに取り込んだ。中央アジアの遊牧文明、ペルシャ文明、インドの仏教文明、アラブ文明、ヨーロッパ文明などを自らの中に溶け込ませた。中国には「和羹之美(わこうのび)」という言い方もある。「さまざまな食材を融け合わせた汁物こそ美味である」という意味だ。中華文明は外来文化を大切に扱い、有益な成分をくみ取り、互いの違いを尊重し、調和し共生することを重んじてきた。ただし中華文明は一方で、異なる文明と対話しつつも根本的には自民族の文化的特性を守った。
中華文明の価値は、古くから続いていることだけにあるのではない。中華文明は平和や和睦、調和を極めて重視してきた。それらは、中華民族の変わらぬ崇高な志だった。この価値観は、現在の人類にとっても大いに役立つ。
例を挙げよう。敦煌や福建省の泉州には仏教、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教などの外来宗教も定着した。世界史を見れば、異なる宗教の勢力が争った事例は多い。大規模な戦争も発生した。しかし敦煌や泉州では平和的に共存し、互いに接触しても調和は失われず、各宗教はそれぞれに発展した。
また、明代の鄭和は前後7回にわたり大航海を行った。鄭和の艦隊はインド洋、紅海アラビア、アフリカ東海岸の30余りの国と地域を旅した。特に素晴らしかったのは、鄭和はマゼランやコロンブスなど西洋の「新大陸の発見者」と違って、外国の土地を全く占領しなかったことだ。
西洋人は、歴史上の中国と現代中国を「異なる中国」と見なすことがある。しかし現代世界は歴史上の世界の延長であり昇華だ。現代中国は歴史上の中国の延長であり昇華だ。人々が目にする現在は、すべて過去から続いてきたものだ。これは人類の社会に対する基本的な認識にすべきだ。習近平主席も述べたように、中国は歴史の長い連続性から認識せねばならない。そうしなければ、古代中国を理解することも、現代中国を理解することも、まして未来の中国を理解することもできない。
歴史上の中国が人類文明に貢献した事例は極めて多い。例えば、19世紀初頭に西洋諸国はより近代的な官僚制度を構築し始めたが、その際には中国の科挙制度の強い影響を受けた。当時は多くの西洋人が、中華文明を称賛していた。
状況を一転させたのはアヘン戦争だった。多くの西洋人がそれまでの考えを捨て、西洋文明は世界の発展をリードすする最も先進的な文明で、東洋文明、特に中華文明は保守的で立ち後れており、中国人は愚かなので、「改造」されてしかるべきだと考えた。甚だしきに至っては、「殴ってでも改めさせねばならない」と考えるに至った。
このようにして確定された「西洋中心主義」思想は、西洋人の東洋を見る基本的立場と観念を変えていった。影響は現在も続いている。
ただし中国側にも至らぬ点があった。中華文明を広く世界に伝える点で、強化と改善がもっと必要であることは間違いない。歴史研究者は、中華民族や中華文明についてより全面的に深く研究し、世界に向けても説明していかねばならない。中華文明の由来、内包、特質、心意気をはっきりと説明してこそ、国際社会の中国に対する誤解、歪曲(わいきょく)、疑問によりよく対応することができる。国際社会で思想の交流と対話を展開し、より多元的な方式で情報の対外発信に努めれば、中華文明は博物館や書物だけに残されているのではないことを海外の人々に真に理解してもらうことができる。そのような努力を通じて、長い歴史を経て現代に至った中国をより正確に理解してもらい、中国は信頼でき尊敬できる国であり、愛すべき国であると実感してもらうことができるはずだ。(構成/如月隼人)
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