日本の処理水放出は本当に安全なのか?5大問題を解説―英メディア

Record China    2023年9月16日(土) 22時0分

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日本の東京電力福島第一原発の処理水海洋放出に中国が強く反発する中、英BBC中国語版は12日、「日本の核廃水海洋放出は本当に安全なのか、5大問題を解説」との記事を掲載した。

日本の東京電力福島第一原発の処理水海洋放出に中国が強く反発する中、英BBC中国語版は12日、「日本の核廃水海洋放出は本当に安全なのか、5大問題を解説」との記事を掲載した。

同記事は1つ目の問題として「海洋放出の具体的な過程はどうなっているか」を挙げ、「原発事故後、原子炉を冷やすために大量の水が使用されており、長年の蓄積によって1000を超える巨大タンクが飽和状態になっている」と説明。「海洋放出はこの問題を解決するために日本の内閣が2021年に可決したもの。福島の海岸に処理場が建設され、処理された水はさらに海水で100倍に薄められる。検査の結果が基準値をクリアしていれば、パイプラインを通じて海に排出される。これは30年間続く」とした。

2つ目の問題は「核廃水、核汚染水、処理水の区別」についてだとした。記事はまず、「原発の正常な運転の中で排出される水は一般に(中国語で)『核廃水』と呼ばれ、日本は放出する水を『処理水』と呼び、中国をはじめ反対する人々は『核汚染水』と呼ぶ」と説明。「中国は『日本は核燃料に直接触れ、60種以上の放射性物質を含む核汚染水を核廃水と同列に扱うべきではない』と主張している。一方、日本側は先進的な処理システム『ALPS』によって汚染水に含まれる62種類の放射性物質を、トリチウムを除いて国際基準以下に低減できると主張している」と紹介した。

その上で、「日本はさらに100倍に希釈して、1リットル当たりのトリチウムの含有量を世界保健機関(WHO)が定める飲用水基準の7分の1にすると説明している。30年間に排出されるトリチウム量は年22兆ベクレルで、これは中国の紅沿河原発(90兆ベクレル)よりも少ない」と解説した。

3つ目の問題は「日本による海洋放出は安全なのか」ということ。記事は、米科学誌サイエンスが「(処理水は)安全なように聞こえるがそれでもなお、海水中の自然状態のレベルよりも数千倍高い」とし、「30年間にわたって1カ所で集中放流されるため、トリチウムを含むその他の放射性物質は海洋生物に蓄積され、食物連鎖を通じて人間の体内に入る可能性がある」とする一方、日本は「処理水で400尾のヒラメを養殖し、3日後にはヒラメからトリチウムが検出されなくなった」と主張したことを紹介した。

その上で、「トリチウムの自然界における半減期は12.3年。生体内での半減期は7~14日ほどしかない。加えて、トリチウムは体液とともに排出され人体に蓄積されにくく、放射能の影響は小さい」と説明。さらに、「より権威ある組織がこの件を管理している」とし、「国際原子力機関(IAEA)は今回の日本の放出への評価報告書を提出しており、人や環境への影響は軽微であると結論付けた。報告書に参加した米中英仏韓などの専門家のうち中国の専門家は『報告書はすべての専門家の意見を十分に反映しておらず、結論には限界と一面性がある』との認識を示したものの、報告書の結論を覆すような証拠は提出してない」とした。

4つ目の問題は「全く問題ないと言えるか」だとした。記事は「専門家からは、放出は30年間も続くため、どんなに権威のある機関、厳密なプロセスであっても人が作業している以上は人為的なミスや問題が起こる可能性があり、一度間違いを起こせば元には戻らないとの指摘がある。また、トリチウム以外の放射性元素に焦点を当てるべきとの専門家もいる。ストロンチウム90、ヨウ素129、セシウム137は半減期がはるかに長く、骨や歯、甲状腺などに数十年にわたって残り続けるためだ」と説明した。

また、「かつて米スリーマイル島原発事故、チョルノービリ原発事故、東海村臨界事故の3つで法的に賠償が認められたことがあり、日本による排出が本当に無害かを検証するために法的アプローチを行うことも選択の一つという意見もある。主体が立ち上がれば、原子力損害賠償制度に関する国際条約あるいは国連海洋法条約に基づいて訴訟を起こし、勝訴すれば排出計画を阻止できるが、そのためには放出と生態系や人体への影響との間に因果関係があることを証明しなければならない」と言及した。

5つ目の最後の問題は「中国と日本の立ち位置をどう見るか」について。記事は「放射能という目に見えず、理解しにくい一方で致命的な物に対し、人々は大きな恐怖を抱く。中国はこのような恐怖を背景に、日本の放出を大々的に宣伝し、パニックと嫌日感情を増幅させた。専門家の中には、米国の中国封じ込めに追随する日本へのけん制だと解釈する人もいる」と指摘。一方、「日本でも30年の排出と福島の二文字が恐怖感情とリンクし人々に衝撃を与えたが、日本政府は冷静な対応を求めている。政府はその他の処理方法も検討した上で、総合的な判断として、現段階で最も実行・追跡が可能な方法として海洋放出を選んだとしているが、反対派からは『最も安全な方法ではなく、最も低コストな方法を選んだ』との声もある」とした。

そして、「水産品の海外への販路が制限され、国際的な評判が損なわれ、地政学的な駆け引きで相手に弱みを握られたことは、日本がこの選択をした代償だった」と指摘した上で、「30年間の放出は始まったばかりで、その生態的な結果、経済的な結果、政治的な結果については、引き続き注目しよう」と結んだ。(翻訳・編集/北田

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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