中国で離婚件数が3年連続で減少、その背景に不動産市場の低迷

Record China    2023年9月18日(月) 11時20分

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中国で離婚件数が3年連続で減少している。住宅市場の低迷が大きな原因の1つと指摘されている。住宅物件が売りにくく価格が不安定なため、離婚の際の財産分割が難しいからという。

中国で離婚件数が3年連続で減少している。住宅市場の低迷が大きな原因の1つと指摘されている。離婚案件を扱う弁護士によると、現在は住宅物件が売りにくく、価格が不安定なため、夫婦が離婚を望んでも財産の分割が難しくなり、離婚件数に影響を与えているという。

中国民政部の6月の発表によると、2022年通年で婚姻届けを出したカップルは過去37年間で最も少ない683万3000組だった。一方で、離婚届を提出したのは210万組で、16年連続で増加した後に3年連続で減少したことになった。

経済社会分野の研究者によると、婚姻には経済状態と一定の関係がある。離婚の場合、経済が下落し圧力が高まると減少する傾向があるという。

中国のポータル/情報サイトの捜狐が15日付で掲載した記事によると、広東省広州市で離婚関連の仕事をする劉勝飛(リウ・ションフェイ)弁護士は、離婚に要する時間が以前よりも長くなったと説明した。劉弁護士は10年余り法律関係の仕事をしており、婚姻関連の案件を1000件以上を扱ったという。

劉弁護士によると、ここ数年で離婚が難しくなった理由としてまず、2021年1月1日に「離婚冷静期間」という制度が施行されたことだ。政府の関連部門に離婚を申請した場合でも30日間は認めず、その間に夫婦双方に「冷静さ」を取り戻させて改めて判断させる制度だ。ただし、「離婚冷静期間」がどの程度機能しているかの正式な発表はない。

劉弁護士はまた、夫婦の片方が離婚に同意しなければ、裁判によって争うことになるが、夫婦のどちらかがが断固として同意しなければ、裁判官は簡単には離婚を認めないことが一般的と説明した。

劉弁護士は、財産分与はそもそも通常離婚事件の厄介な部分だと説明した上で、「以前は住宅価格が安定していたり、上昇傾向にあった時期には、夫婦双方が離婚を決め、どちらかが相手に金銭を支払うことで家を所有することにする場合、あるいは家を売り出してそれぞれがどのような割合で現金を受け取るかについて、双方の意見の相違は比較的小さく、当事者が離婚する最終決断をするのも早かった」と説明した。しかし現在は家を売りにくく、金銭の分割も難しく、不動産価格も不安定なので、当事者が決心するのが難しくなったという。

また、離婚そのものについては夫婦が合意しても、不動産の分割で意見が一致せず、裁判で決着をつけるしかない場合が出てくるという。

住居を離婚した夫婦の一方が所有した場合、相手に対して金銭で補償することになるが、即金で支払えずに分割払いにした場合には、問題がさらに出やすい。現時点の査定金額に双方が合意したとしても、不動産価格が不安定という状況があり、後になりどちらかが不満を申し立てることがあるからだ。

劉弁護士は離婚についての相談を受けた場合も、すぐに引き受けるのではなく、リスクと困難な点をはっきりと説明するようにしているという。主要な点は、夫婦の一方が相手に離婚を申し出た場合に、相手が同意せず裁判になった場合、裁判所が離婚を認めないことが一般的であることと、夫婦の財産分割の作業が極めて面倒であり、時間がかなりかかることだという。

劉弁護士によると、今年になり相談を受けた案件では、当事者の多くが離婚を最終決断ができない状況という。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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