中国新聞社 2023年10月15日(日) 23時10分
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ドイツ人のトビーさんは、「ドイツの厨房への100日間電撃作戦」というシリーズ名の動画投稿を続けている。屋外で中国料理を作り、通りすがりのドイツ人に評価してもらう試みだ。いったい何を目的にしているのか。
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ドイツ人のトビーさんは、「ドイツの厨房への100日間電撃作戦」というシリーズ名の動画投稿を続けている。トビーさんは中国に留学した経験があり、「中国人はドイツをあまりにも知らず、ドイツ人はあまりにも中国を知らない」ことを痛感している。この一風変わった名の動画シリーズの最終目的は、「ドイツ人が受け入れ可能な中国料理を探し出してドイツの家庭に定着させる」だ。動画には、これまでも動画投稿を続けてきたトビーさんならではの「仕掛け」がある。トビーさんはこのほど、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、中国とドイツの関係について思うことや、動画配信全般についての信念を語った。以下はトビーさんの言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
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中国語の勉強を始めたのは2010年に清華大学に行った時だ。それから多くの中国人と知り合い、友人もできた。その結果、中国人とドイツ人の互いに対する認識と実際の状況にずれがあることに気づいた。互いに相手のことを知らず、想像している。例えばある中国人は、ドイツでは車の運転で速度制限がなく勝手に運転してよいと思ったり、ドイツ人はみんなまじめでロボットと同じだと信じていた。だから、動画を通じて実際のドイツやドイツ人について伝えたいと思った。相手をよく知れば、無理解や矛盾は減るはずだ。
今は「ドイツの厨房への100日間電撃作戦」シリーズをやっている。ドイツでの撮影だ。毎回の動画の最後の部分で、次の回には中国のどの省の料理を作るか宣言する。そして視聴者の投稿を参考にして、その省を代表する料理を決める。撮影時には屋外でその料理を作り、通りかかった人に試食してもらい、食感やドイツの家庭での作りやすさなど8項目で採点する。
屋外で通行人に参加してもらうようになったのは2022年だ。こうした動画の方がよりリアルで地道で、視聴者に好まれることが分かった。視聴者は賢い。動画が芝居なのか、本当なのかを見分けるものだ。
このシリーズでは、取り上げる料理を視聴者に決めてもらっているわけだ。さらに通りすがりのドイツ人に選んでもらえれば、ドイツ人が日常の生活に受け入れられる中国料理が分かるはずだ。私の目標は、本物の中国料理をドイツ人の家庭に入れることだ。
ここ数年は中国関連の事情を紹介する外国人の動画ブロガーが増えている。つまり、中国語を学ぶだけでなく、中国文化や中国の物語を体験し、さらに他人に伝えようとする外国人が増えている。よいことだ。
ただし、どのような分野でも取り組む人が増えれば、均一化の問題が生じる。他とは異なる動画を作るには、作り手として視聴者に対して誠実な心を持ち、なぜ自分が動画を撮るのか、視聴者に何をもたらすのかを自覚し、自分を掘り起こし、生活を観察し続ける必要がある。
人は皆、それぞれの性格や経歴、教育、文化的背景が違う。だから、同じものに対する感じ方や見方に違いがある。だから、同じテーマを扱っても、ブロガーそれぞれの視点は違ってくる。それでよいのだ。逆に、惰性的に撮影をしていれば、誰が制作しても同様の動画になる可能性が高い。それでは自分の仕事を尊重しておらず、さらに視聴者を尊重していないことになる。
例えば私が作っている「ドイツの厨房への100日間電撃作戦」シリーズでは、通りすがりの人に出演を許諾してもらうことが難しい。撮影後の編集時間も長くなる。しかし私の出発点は、中国料理を実際に紹介し、中国料理をドイツに浸透させることだ。私自身がそれぞれの中国料理をどう思っているかを撮影することではない。それでは中国料理を真に紹介するのに役立たない。私は、そういう仕事をしたくない。多くの視聴者からコメントが寄せられ、このシリーズを好きだと言ってくれる。私は自分自身が中国料理を宣伝しようと努力していると感じる。これは嬉しいことだ。
私は街頭でドイツの若者に中国関連について質問する動画を作ったことがある。質問したことは、中国から連想することや、中国を評価するのか否定するのか、さらにそれらの情報源についてだ。情報源については、たいていの人がニュースメディアやSNSと回答した。だが、そのようなプラットフォームの情報は信じられるかと尋ねると、多くの人は信じられないと言った。私がさらに、「どうすれば本当の中国を知ることができると思うか」と尋ねると、ドイツの若者は一様に、「自分で中国に行ってみないと分からない」と答えた。
しかし若者は金を持っていない。中国への航空券を買うのは困難だ。だからこそニュースメディアの役割は重要だ。例えば私の動画の場合、視聴者はどの国の人でもよい。私のリアルな撮影を通じて、リアルな相手を見たり、感じたりしてくれればよい。私は動画クリエイターとして、自分自身を中国とドイツの間の「橋」と位置づけている。私のような存在が増えてリアルな動画が増えれば、中国側とドイツ側の認識のずれも小さくなる。
中国人とドイツ人には違いもある。ドイツ人は具体的な数字や厳密な論理関係を重視していると思う。一方で中国人には「実」と「虚」がある。「三」や「九」を実際の数字として使う場合もあれば、象徴として使う場合もある。ドイツ人が料理をする場合には、何を何グラム使うかを重視するが、中国人は「ネギ少々」といった具合だ。
もちろん同じ面もある。ドイツ人はザワークラウトをよく食べる。中国の東北人は酸菜(スワンツァイ)を食べる。どちらもキャベツや白菜を塩水に漬けて発酵させたもので味も基本的に同じだ。ただ、「同じ」の中に「違う」が潜む場合もある。ドイツ人も中国人も肉を火であぶって食べることが好きだが、ドイツ人は肉の塊を食べる。中国人は串焼きをよく食べる。ドイツ式は比較的粗放で、中国式は緻密だ。
ドイツ人と中国人では文化的背景が違うが、生活の問題を処理せねばならないのは同じだ。そしてドイツ人も中国人も環境保護と持続可能な発展を重視していている。いずれも自分自身と子孫により良い生活をもたらすためだ。
言語の違いや地理的な距離が中国人とドイツ人の間の交流を妨げてはならないと思う。ますます多くのドイツ人が中国に行って、本当の中国を知ってほしいと願っている。逆に、より多くの中国人にドイツに来てほしい。両国の人々がより頻繁に移動するようになると、関係はより近くなる。
私自身がその一例だ。中国に留学する前には、木造の家ばかりが並んでいると想像していた。実際には、そうではなかった。
私はより多くのニューメディア人が文化発信系の動画を制作し、より多くの視聴者がニューメディアを通じてリアルなドイツと中国を知り、互いに対する認知のズレを調整してほしいと願っている。(構成 / 如月隼人)
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Record Korea
2023/10/9
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