中国外相と国防相の解任、専門家たちはどう見ているのか―独メディア

Record China    2023年10月27日(金) 6時0分

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25日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国で外相に続いて国防相が更迭されたことについての専門家による見解を紹介する記事を掲載した。写真は北京。

2023年10月25日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国で外相に続いて国防相が更迭されたことについての専門家による見解を紹介する記事を掲載した。

記事は、中国が24日に李尚福(リー・シャンフー)氏を国務委員と国防相から解任し、7月に外相を解任されていた秦剛(チン・ガン)氏についても国務委員の職を解く発表を行った一方、その理由については何の説明もないと紹介。また、新任の国防相をまだ指名しておらず、29日に中国が開催する地域の安全保障会議「香山フォーラム」までに任命が行われるのではないかとの見方が出ていることを伝えた。

その上で、国防相という重要ポストが一定期間「空白」となることについてシンガポール国立大学政治学部の荘嘉穎(ジュアン・ジアイン)副教授が「中国の国防相は主に外交的役割を担っており、作戦機能を持たない。南シナ海などの問題は、国防相よりも各戦区司令部や中央軍事委員会が大きな役割を担っている可能性がある」と指摘し、台湾・淡江大学国際問題戦略研究所の林穎佑(リン・インヨウ)助教も「中国の国防相は米国とは異なり軍事的な実権を持っておらず、李氏の解任が中国の軍事力に影響を与えることはない」との見方を示したことを紹介した。

また、李・秦両氏以外にも元ロケット軍司令官の李玉超(リー・ユーチャオ)氏など中国軍の一連の高官に人事異動が発生し、世間の注目を集める一方で中国政府は何の説明もしていないと紹介。荘副教授が「習近平(シー・ジンピン)氏が軍指導部の重要な部分に不満を抱いていること、簡単に軍の幹部を解任できる権力の強さを誇示している」と指摘し、かねてより取り沙汰されてきた「中国政府、中国共産党、中国軍の指導部に存在するブラックボックスのようなもの」が習近平体制のもとで一層不透明さと不確実性を増していると論じたことを伝えている。

さらに、アジア・ソサエティー政策研究所の中国政治研究者ニール・トーマス氏が、李・秦両氏の排除が習氏の政治的権威を大きく損なう可能性は低く「習氏からの支持を得る重要性を他の幹部たちに強調することになる」との見方を示したこと、オーストラリアの中国専門家アダム・ニー氏が「習近平が最高権力を強化する一方、他の指導部の不安定さは弱まるどころかむしろ強まっている。今回の件は、ごく少数の部下を除けばどんなに寵愛を得たとしてもすぐに権力を失う恐れがあることを示した」と評したことを伝えた。

記事はこのほか、ロンドン大学中国研究所の曾鋭生(ゾン・ルイション)所長が、「昨年10月の第20回党大会で習氏はすでに他の派閥を排除した。他の派閥が排除されると今度は習派の中に小さな派閥が生まれる。李氏も秦氏も、自分と異なる他のグループから習氏に告げ口されたことで苦境に陥ったようだ」と語り、今回の人事異動が「習軍団」の内紛に発展する可能性を指摘したことも併せて紹介している。(翻訳・編集/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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