高度2.8万メートルまでぬいぐるみのクマを上昇させた学生、安全性に懸念の声も―中国

Record China    2023年11月7日(火) 0時0分

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寧波諾丁漢大学の学生がヘリウム気球を使ってぬいぐるみを高度2万8000メートルまで上昇させて、撮影した動画を公開した。称賛の声が続いたが、安全問題での懸念を示す指摘もある。

映像の画面の中央近くにぬいぐるみのクマが見える。ひものようなものでつるされている。なぜか、実験用の白衣のようなものを着ている。背後に見えるのは地球か。画面全体が回転しており、ときおりまぶしい光が見える。地平線は丸みを帯びでいて、薄い青色の縁取りがある。大気層だろうか。天は漆黒だ――。寧波諾丁漢大学(ニンボー・ノッティンガム大学)の学生がヘリウム気球を使ってぬいぐるみを高度2万8000メートルまで上昇させて撮影した。

ヘリウム気球を高高度に上げる場合には、地上近くでは気球はしぼんだ状態だ。高度を増すにつれ周囲の大気圧が減少するために膨らんでいく。学生が上げた気球が到達した高度2万8000メートルでの気圧は地上の100分の1程度だ。気球は限界にまで膨らみ、爆発した。ぬいぐるみなど搭載物は落下した。


寧波諾丁漢大学は、中国と外国の教育分野での協力の試みとして2004年に浙江省寧波市に設立された。浙江万里教育集団と英国のノッティンガム大学が出資しており、卒業者にはノッティンガム大学の学位が授与される。気球を上げた学生らは当初、寧波市で実行しようと考えたが、浙江省は山地や丘陵など地形が複雑で、人口も密集しているために実施は不可と判断した。取り組みの中心の学生は、出身地の東北地方の地形や気候、気温、風向きを総合的に判断して、遼寧省阜新市と内モンゴル自治区通遼市と境界地帯での実施を決めたという。

学生が投稿した映像には「カッコいい」、「クールだ」といった反応が多く寄せられた。「大学で学んだ腕前の神髄を発揮」とする称賛もあった。一方で、航空機への影響を疑問視する声も寄せられた。

ベテランパイロットの陳建国氏は中国メディアの極目新聞の取材に対して、投稿者がネットユーザーに向けて、同様の実験をすることを勧めていることに懸念を示した。高空への気球放出には厳格な規則があり、申請して許可を得てからでないと、実施は許されていないからだ。


陳氏によると、気球放出が規制されているのは、航空機の運航の安全に大きな影響があるからだ。航空機が高空を飛行している際には、時速800-900キロの高速を出しており、気球や気球の付属物に衝突すれば大きな損傷を受ける可能性があるという。

陳氏は、航空管制機関は気球放出の情報に基づいて、気球の上昇時間、場所、影響範囲などを航空会社と操縦士に通達すると説明した。航空機が実際に飛行している際にも、管制官は航空機に注意を促す場合がある。ただし実際には、気球がそのままの状態で空中を漂い続けている場合も多く、世界各地でパイロットが気球を目撃したと報告することがしばしばあるという。

学生側は投稿した動画に、「当局の許可を得ている」と書き込んだが、極目新聞が改めて確認のために連絡したところ、回答はなかった。極目新聞は大学側にも連絡したが、大学側は、学生は勉学で大きなプレッシャーを受けており、4年生になったので卒業のための課題をこなさねばならないのでさらに忙しくなったとして、取材に難色を示した。


同大学はその後、SNSの公式アカウントを通じて熊のぬいぐるみを高空にまで届かせた話題を投稿した。その際に、学生チームが自発的に行った試みだが、政府関連部門の許可は得ており、さらに専門の大学関係者による指導を受けていたとして、ユーザーにむやみにまねしないように呼び掛けた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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