Record China 2014年8月11日(月) 5時40分
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中国人は日本人のことを建前ばかりで本音を話さないと言う。レストランでお勘定をする時に関して言えば、中国人は払うつもりがなくても「私が払うわ」と言い、払う払わないの迫真のお芝居が続く。資料写真。
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「日本人は表情に乏しく、何を考えているのかわからない」、「日本人は言っていることと考えていることが違う(そこが上海人に似ているとも)」、「日本人は建前ばかり話す」などなど。中国人の日本人感は厳しい。私が平均的な日本人かは別として、私にも反論はある。
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「中国人のほうが、日本人よりずっと建前重視じゃない?」と言いたい。それは、中国で友人と食事に行ったときに毎回、感じることだ。中国ではその土地に住んでいる人が遊びに来た人に食事をおごる決まりといおうか習慣がある。私みたいに何回も同じところに行くと、毎回、友人におごってもらうのも悪いので、私もお勘定を持つローテーションに入れてもらった。中国のレストランでお勘定をする時、多くのテーブルで見られるお決まりの光景がある。
「ここは私が払うわ」、「だめ、だめ〜っ、今日は私が!」と中国人が100元札や財布を振りかざし、もめている。「また、やっているよ」と私は冷ややかに見る。だって、そこにいる誰もが今日は誰が払う番なのかを知っていて、それをみんな了承しているのだ。そのくせ、何も知らない日本人から見れば、半ば本気に見えるぐらい真剣に「今日は私が出すからね!」と言うのだ。ある日、四川出身の友人と北京で四川料理を食べに行った。前回は私が払ったので、その日は、私がおごってもらう番だった。お勘定の時、友人が「今日は私が払うわ」と言った。私は普通の中国人のように「ダメッ!私が払うわ」と言わなかった。「じゃ、どうもありがとう」と言った瞬間、友人の顔が固まっていた。あれっ、何かおかしい?払う気もないくせに「今日は私が払うわ」って言うのは無駄じゃない?すなおに「ありがとう!」で済ますほうがさっぱりしてない?
この話を中国人にすると、東北人であろうが、南方人であろうが、男女ともに「それは絶対、ダメ」と言う。全員が20代半ばから30代前半の中国人だ。ひとりとして私に同意してくれない。例えば、今日は自分が払う順番だ。でも、友人があまりに何度も「私が払うわ」と言うので、本気にしておごってもらうのもダメらしい。日本人的には、払う気もないくせに、「私が払うわ」なんて言うなよ!しかし、中国では、絶対に「今日は私が払うわ」と、最低1回以上は言わなくてはいけない。
おごり、おごってもらうことについては、中国人は日本人よりもずっと建前重視だ。レストランで「ここは私が出すわ」の白熱したお芝居を見るたびに、中国人って、建前的で面倒くさい人たちだと、思ってしまうのだ。
■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)
1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力にはまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書に「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。
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