中国国際輸入博に154カ国が代表団、米は最大規模=世界企業3400社も―習主席「高水準の開放堅持」

八牧浩行    2023年11月8日(水) 18時0分

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第6回中国国際輸入博覧会が11月5日から10日まで上海で開催され、154の国と地域および国際機関から代表者が出席。全世界から3400社以上の企業が参加した。

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第6回中国国際輸入博覧会が11月5日から10日まで上海で開催され、154の国と地域および国際機関から代表者が出席。全世界から3400社以上の企業が参加した。このうち「一帯一路」関連企業は1500社を超えている。キューバのマレロ首相、カザフスタンのスマイロフ首相、セルビアのブルナビッチ首相ら多くの外国首脳が開幕式と関連行事に出席した。オーストラリアのアルバニージー首相も開幕式で演説し、「中国との関係構築はわれわれの利益になる」と言明。モリソン前政権時代に両国の関係は冷え込んでいたが、アルバニージー政権誕生後、豪州は対中関係の正常化を志向。中国との協力に積極的な姿勢をアピールした。

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米国もこれまでで最大の代表団を送った。米農務省が初めて出展し、アメリカ産の大豆やとうもろこしの取引の拡大を訴えた点も注目された。

製造業外資の参入規制撤廃推進

開幕式に出席した李強中国首相は「製造業領域の外資の参入規制の取り消しなど、関連政策を着実に実施する」と述べ、外資への開放を一段と進めると強調した。改革開放から45年を迎える中で、「中国は開放を通じて自らを発展させるだけでなく、世界にも利益をもたらしてきた」とアピール。「より広範囲で高水準、深いレベルの協力と開放を進める」と述べ、製造業の外資参入規制の撤廃などの施策を推進する方針を示した。

具体的には中国政府が2013年に導入した外資の参入を制限する「ネガティブリスト」について製造業分野の業種をゼロにする一方、金融などを段階的に除外する方針を明らかにした。

李強氏は輸入博に出展した欧米企業や日本企業の事例を紹介。開幕式には習近平国家主席が「中国は常に世界の発展の重要な機会であり、高水準の開放を堅持して推進する」とのメッセージを寄せた。

欧米企業では米ゼネラルモーターズ(GM)や米テスラ、米半導体大手マイクロン・テクノロジー、スイスの食品大手ネスレ、英高級ファッションブランドのバーバリー、仏化粧品大手ロレアル、韓国の現代自動車グループなど、日本企業ではトヨタ自動車やパナソニックホールディングス、ソニーグループ、良品計画などが出展している。


現代自動車グループ中国地区総裁の李赫均氏は「中国の第1~3四半期の経済データからも証明されている。中国の第3四半期までの国内総生産額は対前年5.2%の成長で、その伸び率は依然として世界の主要経済国を上回っている。特に消費の回復が最大の目玉になっており、最終個人消費がGDPの成長率を4.4ポイント押し上げている。14億人の人口と4億人以上の中間所得層を擁する巨大市場という以外に、中国政府が対外開放を推進し続けていることも重要な要因だ」と強調した。

習主席は3日、北京市内の人民大会堂で中国を公式訪問中のギリシャのミツォタキス首相と会談した。習主席は「中国とギリシャは『一帯一路』の共同建設と文明の交流・相互参考するパートナーだ。中国はギリシャとの伝統的な友好関係を重要視しており、ギリシャとの包括的戦略パートナーシップを推進していきたい」と言明。ミツォタキス首相は「ギリシャと中国は緊密な経済関係を有しており、両国間の貿易協力を促進していく。ギリシャと中国はどちらも古くからの文明を有する国であり、両国には世界と分かち合うべきもの、互いに学ぶべきものが数多くある」と呼応した。

15日からのAPECでの首脳会談に向け米中が融和

15日からサンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせてバイデン大統領と習近平国家主席の首脳会談に向けた調整が進んでおり、米国が最大の代表団を送り込んだことや米政府機関の初出展は米中融和路線の一環とみられる。

今回の輸入博の開幕直前に、中国が「一帯一路」共同建設を支援するための重要な措置の一つとして、「シルクロード電子商取引」協力試験区の上海での設置が承認され、「デジタルシルクロード」の健全な発展に効果的な支援を提供することになった。特に後発の発展途上国に対して、輸入博は一部の無料ブースの提供、ブース設置補助金や展示品の中国での販売に対する優遇税制適用などにより、現地特産品の中国市場への参入を推進している。

輸入博は18年から開催しており、今年で6回目。中国の開放政策と世界最大の購買力をアピールする目的で始まった。


■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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